エフェクター徹底解剖 〜ファズ編〜

エフェクター歪み系
ファズとは
photo credit: Roadside Guitars Hendrix Fuzz Face via photopin (license)

歪みエフェクター、ファズ。

アンプだけでは出すことのできない歪み方をするため数多くのギタリストに愛用されているエフェクターです。

一般的にはオーバードライブやディストーションなど比べて強い歪みが得られることが特徴のファズですが、今回はそんなファズのサウンドの特徴や歴史などからファズの魅力に迫っていきたいと思います。

 

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ファズの歴史

1960年代当時、ギターを歪ませる方法といえばアンプをフルテンにして歪ませるのが一般的で、「歪み系エフェクター」なんてものは存在していませんでした。

しかし当時のアンプはつまみをフルテンにしても大して歪まなかったため、当時のギタリスト達はより歪みを得られるようアンプを改造したりエフェクターを自作したりと試行錯誤の日々。

そんな中、当時のギタリスト達の要求に応える形で1962年に世界初の量産ファズ、Mestro社よりFUZZ TONEが発売されました。

発売当初はあまり受け入れられなかったものの、1966年には名機Fuzz Faceが発売され、ジミ・ヘンドリクスの使用で一躍有名になるとあっという間にファズペダルはロックギタリストにとって無くてはならないものとなりました。

しかしその人気は長くは続かず、より扱いやすいオーバードライブやディストーションペダルの登場によりその人気は影を潜めてしまいます。

しかし1995年にZ.Vex社からFuzz Factoryが発売、続々と著名ミュージシャンに使用され始めたのをきっかけにファズの人気が再燃し、再び注目されることとなりました。

 

ファズのサウンド

一般的にファズはオーバードライブやディストーションよりも歪み量が大きいエフェクターのことを指しますが、音の特徴を文章で伝えるのは難しいのでまずはファズのサウンドを聴いてみましょう。

動画はファズの定番Fuzz Faceですが、ザラザラしていて潰れたような深い歪みですね。

ロックはもちろんのこと、シューゲイザーやグランジなどといったジャンルにも使われることの多いエフェクターです。

 

ファズの種類

現在市販されている大半のファズは内部構造の違いで3種類に分けることができます。

1.ゲルマニウムファズ

ファズの中で最も古くからあるのがゲルマニウムファズです。

アナログ回路のファズ内に組み込まれている「トランジスタ」と呼ばれる部品にゲルマニウムトランジスタを使用しているためそう呼ばれています。

 

Fuzz FaceやFuzz Factoryなどがこれにあたり、ゲルマニウムファズには以下のような特徴があります。

  • 荒々しくザラザラした歪み
  • 気温によってサウンドが変化する(寒いと音が悪くなる)
  • ギター側のボリュームでクリーン〜ファズと調節できる
  • バッファを通すと大きく音が変化する
  • ゲルマニウムは希少性が高いため、高価

厄介なのは気温の影響を受けやすいことですね。

一般的に気温が低いとサスティーンがなくなりガサついた歪みになってしまいます。かのジミ・ヘンドリクスもこの症状に悩まされたのだとか。

デメリットも多いゲルマニウムファズですが、ゲルマニウムファズにしか出せない独特のサウンドは現在でも多くのギタリストの支持を集めています。

 

2.シリコンファズ

ゲルマニウムファズの後に登場したシリコンファズは、シリコントランジスタを採用することでゲルマニウムファズの弱点を克服したファズです。

シリコンファズの特徴は以下の通りです。

  • ディストーションのようなスムーズな歪み
  • ゲルマニウムファズよりも深く歪むものが多い
  • 気温によるサウンドの変化が少ない
  • 比較的安価

環境の影響を受けにくく、扱いやすいためレコーディングやライブ、普段の練習にも安心して使用することができますね。

 

 

以上の2つは昔ながらのアナログ回路を採用したファズですが、近年ではアナログ回路に加えてデジタル回路(入力された信号をデータへを変換し、サウンドを処理)を採用したファズも数多く販売されています。

 

3.デジタルファズ

BOSS製のファズがデジタル回路を採用していることで有名です。

デジタルファズの特徴は以下の通りです。

  • 環境による音の変化が皆無
  • 機械で作られたようなわざとらしいサウンドになりがち(デジタル臭い)
  • 聴き疲れてしまいやすい
  • 価格が安い

アナログ回路の音には生々しさや温かみがあることが多いのですが、デジタル回路にはあまりそういった感じはなく、そっけない音になりがちです。

しかし近年では技術が発達し、デジタルでもアナログと遜色ないサウンドを実現した製品もあるため、アナログが良くてデジタルがダメ、なんていうのは昔の話になりつつあります。

 

おすすめファズ5選

Jim Dunlop / Fuzz Face

やはりファズといえばFuzz Faceです。

ゲルマニウムトランジスタを採用ているため太く荒々しい「これぞファズ」といったサウンドを楽しむことができます。

Fuzz Faceを生産していた会社はもうなくなってしまいましたが、代わりにジムダンロップ社が商標を買い取り、現在も生産を続けています。

 

Z.Vex / Fuzz Factory

こちらもファズの定番。贅沢にもゲルマニウムが2つ組み込まれています。

正統派のファズサウンドから発振しまくりの変態サウンドまで幅広い音作りが可能です。

じゃじゃ馬ですが使いこなせれば強力な武器になるでしょう。

 

Electro-Harmonix / Big Muff Pi

ザラザラした図太い歪みが特徴で、弁当箱とも称される巨大な筐体が目を引くエフェクターです。

小型化したものやメタル向きにチューニングされたものなど、様々なバリエーションが存在します。

 

Fulltone / SOUL-BENDER 

こちらはトーンペンダー系のエフェクター。

本家トーンベンダーはブチブチした歪みが特徴のファズですが、SOUL-BENDERはその特徴を踏襲しつつ本家にはないTONEつまみ、より可変量の大きいGAINつまみなどが与えられ、扱いやすいエフェクターとなっています。

 

BEHRINGER / SF300 Super Fuzz

3000円ちょっとで購入できる激安ファズです。元ネタはBOSS FZ-2だとか。

スムーズな歪みよりも轟音やノイジーなサウンドを出す方が得意なエフェクターです。

 

まとめ

ファズの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 1960年代に登場
  • 潰れたような深い歪みが特徴
  • 発振させることにより飛び道具的な使い方も可能
  • 大きく分けて3種類のファズがある(ゲルマニウム、シリコン、デジタル)

 

歪みとしてだけでなく発振させることによって飛び道具的な使い方もできるので、幅広い用途で使えるエフェクターですね。

オーバードライブやディストーションと比べマイナーなイメージのあるファズですが、魅力ある歪みであることは間違いありません。

ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

 

 

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