エフェクター徹底解剖 〜オーバードライブ / ディストーション編〜

エフェクター歪み系

コーラスやディレイなど、数あるエフェクターのジャンルの中でダントツに品揃えが多いのがオーバードライブとディストーションです。

「エフェクター」と聞いてオーバードライブ、もしくはディストーションを思い浮かべる方も多いはず。

今回はそんなエフェクターの花形でもあるオーバードライブとディストーションの歴史や回路について紹介していきます。

 

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オーバードライブ・ディストーションの歴史

1950年代後半にリンク・レイ氏がアンプのスピーカーに傷をつけて歪んだサウンドを出していたことをきっかけに、ギターにおける「歪み」の歴史が始まります。

荒々しく歪んだサウンドはロックミュージシャンの間でたちまち人気となり、当時のギタリスト達はリンク・レイのまねをしてスピーカーに傷をつけたり、アンプに過大な入力を与えたりして歪みを得ていました。

しかし当時のアンプは歪ませることを想定して設計されていなかったため、歪んでも現在で言うオーバードライブ程度でディストーションのような深い歪みを得ることはできませんでした。

 

そんな中1960年代半ばにFuzz FaceやTONE BENDERなどのファズが登場し、歪んだサウンドの普及に拍車がかかります。

そして各メーカーがファズペダルを発売する中、1973年にMXRよりDistortion+が、1978年にBOSSよりOD-1が発売され、オーバードライブとディストーションの歴史が始まります。

オーバードライブやディストーションはファズと比べて扱いやすく、自然な歪み方をするため多くのギタリストに受け入れられ、後のロックシーンにおいてなくてはならないものとなっていきました。

 

オーバードライブとディストーションのサウンド

市販されている歪みエフェクターはオーバードライブ、ディストーション、ファズの3種類に分けることができます。

この3つを歪みの強さで並べると

オーバードライブ < ディストーション < ファズ

といった順になります。

しかしこれらに明確な基準があるわけではなく、メーカーが「このペダルはオーバードライブだ」といえばそれはオーバードライブですし、「こっちはディストーションだ」といえばそれはディストーションなのです。

 

オーバードライブのサウンド

文章で説明するのもなんなので、動画でそのサウンドを聴いてみましょう。

アンプライク、と言いますかナチュラルで扱いやすい歪みです。ブルースやオールドロックにぴったりなサウンドですね。

基本的にオーバードライブペダルはそれほど歪まず、コード感が残るものが多いのでバッキングやブースターなどに使われます。

 

ディストーションのサウンド

続いてディストーションのサウンドを聴いてみましょう。

オーバードライブよりかは強い歪みですが、ファズのような荒々しさは無くキメの細かい歪みです。ハードロックやメタル、パンクなどによく合うサウンドです。

 

回路・部品構成によるサウンドの違い

エフェクター内部の回路や部品構成によってどんな特徴があり、どんな違いが生まれるのか、紹介していきます。

ちなみにオーバードライブとディストーションは歪む原理がほぼ同一なので、これから紹介する特徴はオーバードライブにもディストーション両方に当てはめることができます。

 

オペアンプ回路かディスクリート回路か

アナログ回路のディストーションは「オペアンプ回路」と「ディスクリート回路」に分けることができます。

 

「オペアンプ回路」は文字通りオペアンプと呼ばれる集積回路(IC)を使って信号を増幅させる回路のことを指します。

製品特徴などに回路についての記載がない場合は大抵オペアンプ回路です。

Ibanez TS-9やShur Riotなんかがオペアンプを使用した回路であることが有名です。

 

一方でオペアンプを使用せずに信号を増幅させる回路のことを「ディスクリート」回路と呼びます。

ディスクリート回路の方が部品点数が多くなるため設計の自由度が高く、幅広い音作りが可能。(かといってディスクリート回路の方が優れているというわけではありません)

ディスクリート回路を使用したエフェクターとしてBOSS OD-3やZ.Vex Box of Rockなどがあります。

 

ダイオードの種類とクリッピング方式

アナログ回路の歪み系エフェクターはダイオードを使用してクリッピング(電圧を規制して小さな入力でも歪むようにする)していますが、クリッピングに使用するダイオードの種類やクリッピングの方法によっても音が変化します。

クリッピングによく使用されるダイオードはシリコン、ゲルマニウム、LEDの3つ。

それぞれの特徴は以下のような感じです。

  • シリコン:歪みは弱めだが明るいサウンド
  • ゲルマニウム:ファズのような荒々しいサウンド
  • LED:マーシャルっぽい温かみのあるサウンド

近年ではシリコンダイオードが使用されていることが多く、ゲルマニウムやLEDは少数派です。

 

さらにダイオードを対称にクリッピングするか非対称にクリッピングするかによっても音が変わります。

主観ですが、

オーバードライブにはシリコン+シリコンの対称クリッピング

ディストーションにはシリコン+シリコンの非対称クリッピング

がよく使用されているイメージです。

  

おすすめオーバードライブ

1.BOSS / OD-3

元祖オーバードライブペダル OD-1 の後継機です。

太めの歪みに引き締まった低域と、アンプライクなサウンドが特徴です。

1万円を切る価格で購入できるので、初めてのオーバードライブにもおすすめ。

 

2.BOSS / BD-2

OD-3が太めなオーバードライブサウンドなのに対してこちらはジャキッとした歯切れの良いクランチがおいしいオーバードライブです。

高域が強めに出るのでキラキラしたサウンドが欲しい方におすすめです。

 

3.One Control / Strawberry Red Over Drive

コンパクトな筐体ながらつまみの可変量が大きく、ブースターからメインの歪みまで幅広く使えるのがこのオーバードライブの特徴です。

特定の音域が持ち上がったりしないのでアンプやギターの特徴を殺さないオーバードライブです。

 

おすすめディストーション

1.BOSS / DS-1

ディストーションの超定番です。

アンプライクなサウンドではありませんが、「これぞディストーション」と呼べるような歪みを得ることができます。

6000円程度で購入できるコスパの高さも魅力。

 

2.Proco / RAT2

攻撃的でマッチョなサウンドが特徴のディストーション。

歪みの可変幅が広くクランチからファズに近いような歪みを出すことも可能です。

 

3.Suhr / Riot

ブティック系(高級)ペダルの草分け的存在であるRiot。

スムーズかつ滑らかな歪みが特徴で、歪み系ペダルにありがちなノイズもほとんどありません。

価格は少々お高めですが、高品質なサウンドとして特に評価の高いディストーションです。

 

まとめ

オーバードライブ・ディストーションの特徴は以下の通りです。

  • オーバードライブペダルは1978年に、ディストーションペダルは1973年に登場
  • オーバードライブもディストーションも回路の構成はほぼ同一
  • アペアンプ回路とディスクリート回路がある
  • クリッピング方式により音色が変わる

歪み系エフェクターは奥が深く、種類も多いため一度沼にはまってしまうとなかなか抜け出せなくなってしまう恐ろしい(?)エフェクターです。

実物や試奏動画を確認し、自分に合ったオーバードライブ、ディストーションを選びましょう。

 

 

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