ギター木材あれこれ【ネック編】

ギター
ギター ネック 材質

指板と並んで触れることの多いネック。演奏中にネックに触れないなんてことはほぼ皆無かと思います。

実はネックはボディや指板以上にギターそのものの「鳴り」を左右する重要な役割を担っています。ネックによってギターの良し悪しが決まるといっても過言ではありません。

今回はギターの鳴りを左右するネックに使われる木材の特徴とそれぞれの音の傾向を紹介していきます。

 

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ネックの柾目と板目

ネックを語る上でよく出てくる言葉が「柾目」と「板目」です。

この2つは下図のように木のどの部分を製材したかによって分けることができます。

柾目

柾目は黄色の枠で示されているように木の中心を通るように製材した木材です。木の中心部分はあまり強度がないためネック材として使うことはほとんどありません。

中心部分を通っているため反りが発生しにくく、杢目の美しい材が多いのが特徴です。

一方で柾目の木材は1本の木から少量しか採れないため価格は高め。そのため高級ギターに使用されることがほとんどです。

 

板目

板目は赤枠で示したように木の中心を通らない部分を製材したものを指します。

木材の端を使うので杢目がバラバラになりやすいのがデメリットですが、板目の木材は柾目よりも多く採れるため安く手に入ります。

柾目と比べると反りやねじれが発生しやすいものの、きちんと下処理を行えば狂いの少ない仕上がりとすることができます。

 

 

柾目と板目、両者の音の違いはほとんどありませんが、強いて挙げるとすれば柾目のネックはややブライトな音となり、板目のネックは太い音となる傾向にあります。

 

 

ネックに使用される木材

1.メイプル

メイプルは日本などのアジアや北米などに生息する木で、日本では「カエデ」や「もみじ」などと呼ばれていますね。メイプルシロップもこの木から採れます。

ネック材のひとつのスタンダードといっても過言ではないくらい多くのギターに使用されています。一部例外はあるものの、Fender系ギターのネックは大抵メイプルで作られています。

メイプルは硬さの違いで「ハードメイプル」と「ソフトメイプル」に分けられますが、ネックに使用されるのはハードメイプルです。

メイプルは硬く、適度な重さがあるためネック材として使用した場合アタックが強く、高域の出たジャキッとした音となります。いわゆるFender系のサウンドってやつですね。

 

メイプル材については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしていただければと思います。

ギター木材あれこれ【メイプル編】

 

2.マホガニー

マホガニーは中南米や東南アジアなどに生息している木で、メイプルと並んでネック材として多く使用されています。

メイプルはFender系のギターによく使われますが、マホガニーはGibson系のギターによく使用されています。

マホガニーにも色々と種類がありますが、特に使用されるのはオオバ・マホガニー。最近ではワシントン条約によって取引が規制されているため代替材も登場しています。

マホガニーはネック材の中では比較的柔らかいため、中域の出た粘りのある太い音となります。アタック感は弱めです。メイプルがFender系であるならばマホガニーはGibson系ですね。

マホガニーについても以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧いただければと思います。

ギター木材あれこれ【マホガニー編】

 

ネック材として使用されるのはメイプルとマホガニーがほとんどですが、もちろんそれら以外の材も使用されています。

3.ローズウッド

ローズウッドは南米やアフリカなどに生息しています。指板材として有名ですが、ネックにも使用されます。なかにはボディ・ネック・指板の全てをローズウッドで製作したオールローズギターなんてものも。

名前に「ローズ」とついていますが、バラの木ではありません。

ローズウッドもワシントン条約のもと保護されており、貴重な材となりつつあります。

硬く、非常に重いのが特徴。そのためローズウッドを使用すると低域から高域までバランス良く鳴るようになり、クリアでサスティーンの伸びも良好です。

ローズウッドについても以下の記事で紹介しています。

ギター木材あれこれ【ローズウッド編】

 

4.ウェンジ

ウェンジはアフリカ中央部に生息する木で、ネックの他に指板に使用される木材です。

濃い茶色〜黒色をしており、目が粗いのが特徴。乾燥に時間がかかり、割れが発生しやすい性質を持っているので生産コストはやや高めとなります。

かなり硬く、重さもあるためネックに使用した場合やや低域に寄ったドンシャリ気味の音となります。ベースで使用されることの多い木材です。

 

5.ウォルナット

「ウォルナット」と聞くとあまりピンとこないかもしれませんが、食用でおなじみクルミの木です。北米に生息しており、ギターだけでなく家具などにも使用されています。

ギター業界ではアコギのサイド/バック材として使用されることがほとんどですが、数は少ないもののネックにも使用されます。

ウォルナット材は、ある程度の濃淡はあるものの全体的に褐色の風合いを示します。

硬さは中の上といったところで、ネックに使用すると中低域に特徴のある太いサウンドとなります。この特徴から、ウェンジ同様ベースに使用されることもあります。

 

6.コリーナ

コリーナはアフリカ原産の木で、別名「リンバ・ウッド」とも呼ばれます。

フローリングのような黄色でシンプルな杢目のホワイト、黒やグレーの杢目の入ったブラックの2種類があります。両者の違いは見た目だけで、性質的な違いは全くありません。

音響特性的には中域の出た太いサウンドが特徴です。

これだけ聞くとマホガニーそっくりですが、マホガニーと比べるとコリーナの方がやや中域の主張は弱めでバランスのいい音となります。

 

 

 

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