独特な揺れや透明感を出せるエフェクター、コーラス。
Nirvanaの"Smells Like Teen Spirit"やGuns N' Rosesの"Paradise City"などでそのサウンドを聴くことができます。
またスタジオやライブハウスの定番アンプ、JC-120に搭載されていることでも有名なエフェクトですね。
今回はそんなコーラスの歴史や種類について紹介していきます。
コーラスの歴史
世界で初めてコーラス効果を取り入れたのはビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリスンだと言われています。
1960年代後半にレスリースピーカー(トレモロやビブラートを得るためのスピーカー)のプリアンプ部にギターをつないでコーラス効果を得ていたのが始まりだそう。
隠れた存在ではあったものの、エフェクターとして発売される前からコーラスのサウンドは一部のミュージシャンに使用されていたようです。
世界初のコーラスは1975年にRolandより発売されたトランジスタアンプ、JC-120に付いていたものだと言われています。
トレモロやビブラートとはまた違った美しい響きから、コーラスはすぐに市場へ浸透していきました。
翌1976年にはJC-120のコーラス部分だけを抜き出したペダル型のアナログコーラス「CE-1」がRolandより発売されます。これが世界初のペダル型コーラスです。
この CE-1、すでに生産終了となっていますが、そのサウンドの良さから市場ではプレミア価格で取引されています。
コーラスのサウンド
まずはコーラスのサウンドを聴いてみましょう。
音に揺らぎや透明感が付与されているのがわかります。
クリーンやクランチとの相性が抜群に良いエフェクトです。
コーラスの仕組みですが、まずエフェクター内に入ってきた原音を2つに分け、片方の音はそのまま出力、もう片方の音は波形をほんの少しだけずらして出力します。 すると2つの音の間でズレが生じてコーラス独特の揺らぎや透明感のあるサウンドが生まれる、といった具合です。
ちなみにこの2つの音を別々のスピーカーから出力するコーラスのことを「ステレオコーラス」と言います。
コーラスペダルの操作系は以下のようになっています。
- Depth:揺れの深さを調節
- Rate:揺れの速さを調節
- Level (MIX):原音とコーラス音の比率を調節
製品によって若干違いがありますが、大体こんな感じです。
浅くかけるのが一般的ですが、極端に深くかけることによってトレモロのような効果を得る、なんて使い方もあります。
コーラスの種類
アナログコーラス
ディレイなどにも使用されるBBD素子(音を遅延させる部品)を搭載したコーラスのことを「アナログコーラス」と呼びます。
アナログコーラスには以下のような特徴があります。
- マイルドで温かみのあるサウンド
- 価格は高め
- 細かい設定はできない
アナログ独特のマイルドで温かみのあるサウンドは、BBD素子が持つ信号伝達の微妙なズレによって生み出されます。
ビンテージ感ある太めのサウンドが欲しい場合はアナログコーラスがおすすめです。
デジタルコーラス
デジタルコーラスは文字通り音をデジタル化してコーラス音を作り出すエフェクターです。
デジタルコーラスは以下のような特徴を持っています。
- クリアで高音質(無機質なサウンド)
- 比較的安価
- トーン調節やモード切替等が備わっていることが多く、細かい設定が可能
デジタルコーラスは寸分の狂いもなくコーラス音を出力できるのでクリアなサウンドとなりますが、正確すぎるあまり冷たく無機質なサウンドになってしまう傾向にあります。
クリアなサウンドや機能性を求める方にはデジタルコーラスがおすすめ。
おすすめコーラス
BOSS / CE-5
世界初のコーラスエフェクター「CE-1」の後継にあたるデジタルコーラスです。
通常のコントロールに加えてハイとローのトーン調節ができるため幅広い音作りが可能なペダルです。
Electro-Harmonix / Small Clone
カートコバーンが使用したことで有名なコーラスです。
コントロールはDepthスイッチとRateつまみだけという漢気溢れるシンプルな構成。
音はそのままに小型化した Neo Clone と呼ばれるモデルも存在します。
TC ELECTRONIC / 3RD DIMENSION CHORUS
5000円ほどで購入できる格安アナログコーラスです。
つまみで音を調節するのではなく、あらかじめプリセットされた16種類のサウンドから好みのものを選ぶといった特殊なコントロールを持つペダルです。
細かい設定はできませんが、どのプリセットもクオリティが高くコスパの高いコーラスとして人気を集めています。
まとめ
コーラスの特徴をまとめると以下のようになります。
- 音に揺らぎや透明感を与えるエフェクター
- 1975年に発売されたJC-120がコーラスの走り
- アナログコーラスはセッティングの幅は狭いが温かみのあるサウンド
- デジタルコーラスはセッティングの幅は広いが無機質なサウンド
コーラスは製品ごとのキャラクターがはっきりしているエフェクターです。
実際に店頭で試奏してみたり試奏動画を見てみたりしてお気に入りのコーラスペダルを見つけてみてください。