珍ギター・珍ベースセレクション(Fender編)

ギターフェンダー
Fender フェンダー 珍しい レア

1950年代に現在のストラトやレスポールが登場し、今なお世界中のギタリストに愛されています。

しかし、そんなセールス的に成功を収めたギターの裏には必ず失敗...否、あまり売れずに姿を消してしまったモデルも存在します。

そこで今回はそんな不遇な(?)運命を辿ったFenderのギター達を紹介していきます。

 

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Musicmaster / Duo-Sonic

この二つのギターは兄弟機。

MusicmasterはFender初のスチューデントモデルとして1956〜1982年に生産されていました。

Duo-Sonicも1956年に登場し、何度か生産終了・再生産を繰り返しつつ現在も生産されているギターです。

両者の大きな違いはピックアップの数。Musicmasterがフロントにシングル1基、Duo-Sonicがシングル2基といった構成です。

当初のボディシェイプはムスタングに近く、1964年にムスタングが発表された際にはムスタングと同じボディ、同じネックを使用するよう使用変更がなされました。

 

Bass VI

1961〜1975年に生産されていた6弦ベースです。

ストラトとジャガーを足したようなボディシェイプに、ジャガーとほぼ同一のコントロール(回路)を使用しています。ただしジャガーは2ピックアップなのに対してこのBASS VIは3基のピックアップが搭載されています。

6弦ベースという名でデビューしたものの実際にはバリトンギターとして使用されることが多かったベースです。

 

Bass V

1965〜1970年に生産されていたエレキベースです。

世界で初めて生産された5弦ベースで、ムスタングを細身にしたようなボディシェイプをしています。

現在の5弦ベースと異なり、Bass Vには高音側にC弦が張られています。

これはハイポジションを使わずに高い音を出せるように、という配慮の元の設計でしたが、サイズ感や弦間の狭さなどがネックとなり、あまり市場に受け入れられることなくその姿を消してしまいました。

「早すぎた先駆者」という言葉がぴったりなベースでした。

 

Electric XII

フォークギタリスト向けのギターとして1966年に登場し、1970年まで生産された12弦ギターです。

ジャガーやジャズマスターのボディにホッケースティックと呼ばれる特徴的なヘッドを持つネック、テスコのようなスプリットピックアップなどなど奇抜な外観になってます。

ごく少量のみFender Custom Shopにて再生産されたことがありましたが、2019年にFender Mexcoの手によって正式に復活を遂げました。

 

BRONCO

1967〜1981年の間に生産されたギターです。

ボディとネックは先述のミュージックマスターやムスタングと共通で、シングルコイルピックアップがリヤに1基搭載されていること、「フェンダー スチール ビブラート」と呼ばれる独自のトレモロユニットが搭載されていることがこのモデルの特徴です。

 

Montego

1968〜1972年に生産されたギターで、その個体数は100未満とかなりレア。(レアすぎて動画が見つかりませんでした)

その正体はFenderらしからぬ豪華なフルアコで、GibsonのES-175やByrdlandに対抗したギターであることが伺えます。

フルアコなのにボルトオンネックを採用していたことが唯一Fenderらしいポイントでしょうか。

1ピックアップのMontego Ⅰ と2ピックアップのmontego Ⅱ とがあります。

 

SWINGER

1969年にのみ生産されたギター。

不振に終わったMusic MasterのパーツとBassVのボディを合体させて製作されたギター(言わば材料の在庫処分)で、Music LanderやAllowとも呼ばれていたとか。

2019年にFender Japanの手により復活したことも大きな話題となりました。

 

MAVERICK (CUSTOM)

1969〜1970年生産のギター。

ごく初期のモデルのみMAVERICKと命名されていたようですが、その後すぐにCUSTOMへと名前を変えたモデルです。

ほとんどのパーツはElectric XIIからの流用であり、ほぼElectric XIIの6弦ギターバージョンです。SWINGER同様生産を終了したモデルの材料の在庫処分として製作されたギターです。

 

Lead

1979〜1982年に生産されたギターです。

ボディシェイプはストラトに近いような感じで、ブリッジはテレキャスターのような裏通しタイプが採用されています。

LeadにはⅠ、Ⅱ、Ⅲと3つの種類があり、Lead Ⅰ はリヤにハムバッカーが1基、Lead Ⅱ にはシングルコイル2基、Lead Ⅲ にはハムバッカーが2基マウントされています。

 

Leadの最大の特徴としてピックアップのセレクタースイッチに加えてコイルのセレクタースイッチが搭載されていることが挙げられます。これによってハムバッカーのパラレル出力やフェイズアウト出力など、少ないピックアップの数ながら多彩なサウンドを出力できる仕様になっています。

2020年のNAMMショーにてLead ⅡとⅢが復刻されることが発表されました。

 

BULLET

1981〜1983年製造のギターです。

スタンダードな仕様のBulletとちょっと豪華なBullet Deluxeの2つのモデルがラインナップされており、前期型と後期型が存在します。

前期型は積層材で作られたストラトとテレキャスを合わせたようなシングルカッタウェイのボディにシングルピックアップを2つ搭載というスタイルでデビュー。

しかしこのモデルはあまり売れなかったため1982年にFenderはマイナーチェンジを行います。

後期型はボディをアルダー製のダブルカッタウェイに変更し、ピックアップのバリエーションを4パターンに増やしたりベースをラインナップに追加したりしましたが、これまた大して売れなかったのか結局1983年をもって販売を終了しています。

 

KATANA

1985年から1986年まで製造されたギター。ベース版もあるようです。

海外専売品らしく、国内ではまずお目にかかれないギターです。

FenderらしからぬVシェイプのボディに2基マウントされたオープンハムバッカー、フロイドローズのようなブレードシュータービブラートなるものまで搭載されています。

完全に80年代のメタルブームに乗っかったギターですね。

 

Performer

1985〜1986年に生産されたこのモデルはFender Japanが開発・生産したギターのようです。型番はPF-555。

特徴的すぎるそのボディシェイプにひし形のハムバッカー、KATANAと同型のブレードシュータービブラートを搭載していました。何気に24F仕様なのもこのギターのポイントです。

このギターにもベース版が生産されていました。

 

Prodigy

1991〜1993年に生産されたギターで、アメリカのみで製造・販売されたギター。日本ではほぼお目にかかれないギターと言えます。

ストラトの角を鋭利にしたようなデザインで、SSH配列になっていたり全てのピックアップのトーンが調整可能となっていたりするなど、当時ヒットしていたibanezやJacksonのギターに対抗したモデルであることが伺えます。

 

Toronado

1998〜2003年、2004〜2006年に製造されたギターです。Fender MexicoのDeluxe Seriesの一つとして発売されました。(Fender USAでも生産されていました。)

独特な丸みを帯びたボディシェイプに2基のバムバッカーをマウントしたスタイル。

レスポールと同じ27.75インチのミディアムスケールにチューン・O・マチックのようなブリッジなど、Gibson色の強いギターであることがわかります。

 

最後に

今回紹介したギター以外にも、実際に生産されることなく終わったマローダーやES-335に対抗して製作されたスターキャスターなどなど、Fenderの珍ギターは意外とたくさん存在します。

中には中古市場に出回っているモデルもあるので、人とはちょっと違うギターやベースが欲しいという方は今回紹介したギターを探してみるのもおすすめです。

 

Gibson編はこちら↓

珍ギター・珍ベースセレクション(Gibson編)

 

 

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