トレモロの種類や特徴をまとめてみた

ギター
トレモロ 特徴 音

左手で行うビブラートとはまた違った効果を得ることのできるトレモロユニット。プレイによって繊細にかけたりギターで出しているとは思えない音を出したりすることが可能です。

そんなトレモロユニット、種類が色々とあり構造(種類)によってかかり方や音に違いがあります。

そこで今回は代表的なトレモロユニットをいくつか取り上げ、それぞれの特徴を紹介していきます。

 

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トレモロユニットではトレモロ効果を得られない?

アームを上下させて音に揺らぎを加えるユニットであるトレモロユニットはトレモロ効果を生み出すユニットではありません

そもそも「トレモロ」とは音量を周期的に上下させるエフェクトのこと。音程を周期的に上下させるのは「ビブラート」なのでトレモロユニットは本来ビブラートユニットと呼ぶのが正解です。

ところが現代ではビブラートユニットのことを「トレモロ」と呼んでいますよね。

なぜこういった呼び名が広がったのかというのは諸説ありますが、フェンダー社が自社のビブラートユニットに間違えて「トレモロ」と名付けてしまい、それが広く知れ渡ってしまった、という説が有力です。

間違っているとはいえこの呼び方が一般化しており、会話の中でも普通に通じるため大した問題ではないのでしょうね。

 

ブリッジの種類(トレモロ)

1.シンクロナイズドトレモロ

シンクロナイズドトレモロ 特徴 音

フェンダー ストラトキャスターに搭載されていることでおなじみのブリッジ(トレモロ)です。ギター界で最もスタンダードなトレモロユニットと言っても過言ではないでしょう。

裏通しした弦の張力をボディ背面にあるスプリングで受けることにより、変化量の大きいアーミングを行うことができます。アーミングをしない場合は背面にある調整ネジを締めてブリッジをボディにベタ付けさせて固定することもできます。

スプリングの材質や種類、引っ掛け方などによって音や操作感に変化を生み出せるのも魅力の1つです。

年代によって仕様が分かれており、サドル(弦を受けるコマ)の形状が異なったり、ユニットを固定するボルト(スタッド)の本数が異なったりと数多くのバリエーションが存在します。

 

2.フローティングトレモロ

フローティングトレモロ 特徴 音
photo credit: interestedbystandr Jazzmaster via photopin (license)

ジャガーとジャズマスターに搭載されているトレモロユニットです。

シンクロナイズドトレモロと比べると背面にバネを必要としないコンパクトなユニットで、アーミングに合わせてブリッジも動くためチューニングが狂いにくくなる、といった触れ込みでデビューしました。

ところが実際のところコンパクトであるがゆえにシンクロナイズドトレモロほどの音程の可変量を得られず、ブリッジが動いてしまうためチューニングが狂いやすい、というなんともいえないデメリットを持っています。

しかし悪いことばかりでなく、軽い力でアーミングできるため繊細なプレイに向いていたり、ジェフ・ベック氏などに代表されるクリケット奏法がしやすかったりするといったメリットも存在します。

 

このフローティングトレモロの発展型としてダイナミックビブラートというものも存在します。こちらはムスタングに搭載されています。

ブリッジとトレモロユニットがスプリングで繋がれており、少ない力で大きく音を変化させることが可能となっています。(チューニングの狂いやすさは健在です)

 

3.ビグスビー・ビブラートユニット

ビグスビー 特徴 音
photo credit: Freebird_71 2017 Gretsch G5622T Electromatic® via photopin (license)

グレッチやテレキャスター、レスポールなどについていることの多いユニットです。

シンクロナイズドトレモロや後述するフロイドローズが開発されるはるか前、1940年代にBigsby社より登場した世界初のビブラート(トレモロ)ユニットです。

トレモロ効果は弱めで、チューニングが狂いやすいこと、弦交換も大変なことなどがデメリットとして存在します。

しかし他のトレモロユニットにはない魅力的なルックスや独特の高域の出たパワフルなサウンドから、今だに根強いファンの多いトレモロユニットです。

通常トレモロユニットをギターに後付けする場合は大幅な加工が必要ですが、ビグスビーは「VIBRAMATE」という製品を使うことにより無加工で簡単に取り付けることができます。(VIBRAMATE対応モデルのみ)

 

4.マエストロ・ビブラート・ヴァイブローラー

GibsonのSGやフライングVに採用されていたトレモロユニットです。

スプリングの張力ではなく鉄板の反力を使ってトレモロ効果を得ているのが特徴。

コンパクトなショートヴァイブローラ、ブリッジからボディ下端まで伸びたロングヴァイブローラ、ショートヴァイブローラにエボニー材をおごったエボニーヴァイブローラの3種類が存在します。

近年では見た目重視で取り付けている方が多い印象ですが、ブライトな音となりサスティーンの伸びも良くなるため、そういった効果を狙って取り付けている方も一定数います。

設計の古いトレモロであるため可変量が少なく、チューニングも狂いやすいのが難点です。

 

5.フロイドローズ

フロイドローズ 特徴 音
photo credit: shixart1985 Closeup of golden floydrose on electric guitar via photopin (license)

1977年に登場したトレモロユニットです。非常に激しいアーミングを行うことができます。

弦をブリッジ部とナット部でロックすることにより、アーミングした際に発生するチューニングの狂いを極限までゼロに近づけた画期的なトレモロユニットです。

強制的に弦を固定しているため弦交換やチューニングが手間であったり、鉄鉄しく冷たい「フロイドローズの音」となってしまったりするなどのデメリットがあるものの、他のトレモロユニットでは得られない圧倒的な音程の可変量を得られるためHR/HM系のミュージシャンに人気のトレモロユニットです。

 

6.ケーラー

ケーラー製のトレモロユニットを指します。1990年代に一度生産がストップしてしまったものの、2000年代には再び復活したトレモロユニットです。

見た目はフロイドローズそっくりですが、構造は大きく異なります。

激しいアーミングが可能という点においてはフロイドローズと似ていますが、細かなセッティングが可能で弦交換が簡単であったり、スムーズなアーミングが可能であったりとケーラーならではのメリットが数多く存在します。

もちろん良いことばかりではなく、調節できる部分が多いゆえセッティングが難しいこと、サスティーンが短くなってしまうことなどのデメリットもあります。

ベース用のトレモロがあるのもケーラー社の製品の特徴です。

 

 

最後に

一口に「トレモロ」といってもたくさんの種類があります。

もちろんどのタイプのトレモロユニットも一長一短ですのでご自身のプレイスタイルや出したい音にあったものを選べると良いですね。

製品によっては簡単に後付けできるものもありますのでいつもと違った雰囲気を出したい場合試してみるのも良いかもしれません。

 

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