ギタリストやベーシストの皆さんなら一度は悩んだことがあるであろうエフェクターの固定方法。
マジックテープや結束バンドなど、巷では様々な固定方法が紹介されていますが、それぞれにはどんな特徴があるのでしょうか。
今回は6つのエフェクター固定方法を取り上げ、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
1.マジックテープ
エフェクターの固定方法の中で最も一般的かつ簡単なのがマジックテープでの固定です。
多くのエフェクターボードの座面はマジックテープでエフェクターを固定することを想定して布が貼られています。
マジックテープ固定のメリット
- 脱着が簡単
- 比較的強固に固定できる
- エフェクターの配置に制限がない
- コストが安い
マジックテープ固定のデメリット
- エフェクターの背面にマジックテープを張る必要がある(剥がした際に汚れが残る場合がある=リセールバリューが下がる)
- エフェクターのゴム足が高い場合、ゴム足を剥がすなどの対策が必要となる
マジックテープは脱着がしやすくお手軽な反面、エフェクターの背面を汚してしまうといったデメリットが存在します。
それでも圧倒的にメリットの方が多いのでマジックテープが業界標準となっているのも頷けますね。
2.結束バンド
続いてエフェクター固定の第二勢力(?)、結束バンドです。
もともと結束バンドは配線材などのケーブルを束ねるのに使用するものですが、エフェクターの固定にもよく使用されます。
ボードの上にワイヤーネットなどの格子状の枠を置き、そのワイヤーネットとエフェクターを結束バンドで固定する、というのが一般的な結束バンドによる固定方法です。
結束バンド固定のメリット
- しっかり固定ができる
- コストが安い
- ゴム足の高いエフェクターでも固定できる
結束バンド固定のデメリット
- 脱着に手間がかかる(配置を変える際に結束バンドを切る必要がある)
- エフェクター配置の自由度がやや低い
- エフェクターボードにぴったり収まるワイヤーネットがない場合がある
- エフェクター本体に傷がつくおそれがある
やはり結束バンド最大のメリットはその「固定力」です。バンドでがっちり締め上げるため、運搬中や演奏中に動いてしまう心配はほぼありません。
しかし結束バンドは一度固定してしまうと外すのには「切断」以外の選択肢がないので頻繁にボードの中を入れ替えるのには向いていません。
少し値が張るものの、繰り返し使うことが可能な結束バンドもありますので、それを使えばこのデメリットは解消できます。
また、意外と大変なのがワイヤーネットのサイズ選び。なかなかエフェクターボードに合うワイヤーネットが見つからず、苦労することもあります。
3.ウレタン
厚いウレタンマット(ウレタンフォーム)やスポンジパッドをボードの蓋に貼りエフェクターを押さえつけて固定する方法です。
ウレタンフォーム固定のメリット
- 切ってボードに蓋に詰めるだけなので簡単
- エフェクター本体に加工しなくて済む
- エフェクターの入れ替えも自由自在
ウレタンフォーム固定のデメリット
- エフェクターとボードは固定しないため、蓋をしていないときは動いてしまう
今回紹介する固定方法の中で最もお手軽な方法です。
演奏中に動いてしまうのはデメリットですが、後述の耐震マットなどと組み合わせることでデメリットを解消することもできます。
4.耐震マット
地震で家具が動いたり転倒したりすることを防ぐ耐震マットですが、その粘着力を活用してエフェクターの固定をすることもできます。
耐震マット固定のメリット
- 100均でも入手可能で、コストが安い
- 何度でも張り替えが可能で、組み替えも容易にできる
- 汚れても水で洗うことで再利用が可能
耐震マット固定のデメリット
- 粘着力が弱く、剥がれやすい
- 長期間使用しているとベタベタしてくるため、定期的な交換が必要
耐震マットは先述のウレタンマットと併用することで力を発揮します。
衝撃や揺れが加わる運搬中はウレタンマットでしっかりと固定し、ズレる心配の少ない使用中は耐震マットで位置を保持する、といった具合で、マジックテープに変わる新たな固定方法として最近注目を集めています。
5.専用金具にてネジ止め
エフェクターの背面の蓋を止めているネジに下図で赤く示したようなブラケットを共締めし、エフェクターボードにネジ止めして固定する方法です。
金具固定のメリット
- 極めて強固に固定でき、動いてしまうことはまずない
- 本体に傷がつかない
金具固定のデメリット
- 配置換えを気軽に行えない
- ボードに穴を開ける必要がある
- 専用のブラケットは高価
金具による固定は結束バンド以上の拘束力を持ちます。高価なエフェクターやビンテージエフェクターなど、絶対に外れたくないエフェクターが入っている場合に有効です。
その反面気軽に配置換えができなかったりボードに穴を開ける必要があるなど、強固に固定するがゆえのデメリットも。
固定用の金具はNobels Mounty-Pなど専用の製品も販売されていますが、1台分550円とやや値が張ります。ホームセンターに売っている額縁などを吊るすのに使う「豆かん」やボールチェーンのカップリングでも代用することも可能です。
6.固定機構付きエフェクターボード
一般的なボードではなく、特殊な固定機構がついたボードへ買い換えるのも1つの手段です。
Aclam Guitarsの製品のようにエフェクターを両側からコマで挟み込むスタイルのボードや、レゴブロックのように台座を組み上げてバンドで固定するMzGreen製のボードなど、多種多様な固定方法を持ったボードが各社から販売されています。
固定機能付きボードのメリット
- エフェクター本体を加工することなく組み込みが可能
- 組み替えも比較的簡単
固定機能付きのボードのデメリット
- ボード自体が高い
- エフェクターの数が多いと追加で固定部品が必要となる
- 通常のボードと比べて重い
やはりコストの面では不利なものの、専用のボードは色々と考えて作られているのでスマートかつしっかり固定できる、というメリットは大きいです。
買い換えなど、新規購入を考えている方にはおすすめしたい方法です。
最後に
今回6つのエフェクター固定方法を紹介しましたが、どの方法も一長一短です。
個人的には耐震マット+ウレタンで固定するのがおすすめですが、固定強度や配置換えの容易性など、ご自身が重視したい項目にあった固定方法を選びましょう。