「ギターは軽い方が音がいい」なんて話を聞くことはないでしょうか。
世間ではこのような噂がまことしやかに囁かれていますが、なぜこういう風に言われるようになったのでしょうか。そしてこの噂は本当なんでしょうか。
そこで今回はギターの「重さ」が音に与える影響について解明していきます。
「軽いギター=音がいい」は本当か?
結論から言うと、「軽いギター=音がいい」と言うのは間違いです。
軽くても鳴りにくいギターはありますし、重くてもいい音の出るギターはたくさんあります。
そもそもギターの重さは使用されている木材の比重によって決まるもので、メイプルだったら重くなりますし、バスウッドなどを使用すると軽くなります。
また、ギターの音の良さを決定づけているのはボディやネック、その他のパーツなどのバランスです。
ギターの音に与える影響はギター本体の重さよりも使用されている木材、ブリッジやペグなどのハードウェアの方がはるかに大きいです。
このため軽いギターが良いわけではなく、全体のパーツのバランスの良いギターが音が良いギターと言えます。
重いギターと軽いギターで何が違う?
軽いギター≠良いギターというのは先述の通りですが、同じ木材を使用した同じモデルのギターでも多かれ少なかれ重さの違いがあります。
レスポールを例に挙げると4kgの個体もあれば5kgに迫るほどの重さの個体もあります。
なぜ同じ木材にも関わらず重いものと軽いもの、差ができてしまうのでしょうか。
その答えは「木の個体差」や「製材した部位」、「乾燥具合の差」などが挙げられます。
木は自然のものですから全く同じものはありませんし、シーズニング(木材の乾燥)で全ての木を全く同じように乾燥させることはできません。
人間と同じで木も十人十色というわけです。
それでは重い個体と軽い個体ではどのような違いがあるのでしょうか。
重いギター
まず、重いギターは低域のよく出る傾向にあります。
重いと弦の振動をかき消す力が強く働くため、減衰しやすい高域は目立たなくなってしまいます。それゆえアタックも弱めで倍音よりも実音が目立ちます。
重いギターは音が太く、コシがあるため深く歪ませても気持ちよく鳴ってくれるギターであると言えます。
また、本体の重さに加えてヘッドの重さによってもサウンドに変化が生じます。
一般的にヘッドが重いとキメの細かいモダンな音となります。これは弦の振動からくるヘッドの振動を抑制できている(弦本来の鳴りとなっている)ため。
この効果を狙うためにFenderからヘッドに取り付ける専用のオモリ、「Fat Finger」が発売されています。
この効果を狙ってか70年代に製造されたGibsonやFenderのギターはヘッドが大きめのモデルが多い印象です。
軽いギター
基本的に軽いギターは重いギターとは逆の特性になります。
軽いことによって弦の振動を妨げにくく、中高域が目立ちます。アタックも強く、倍音成分も多く含むようになるためキラキラした音になる傾向にもあります。
クリーン〜クランチが得意なビンテージ感ある音と言えますね。
また、軽いギターは演奏中に身体にかかる負担が少ない、というのもメリットのひとつ。
軽いギターは立って演奏するのも楽ですし、腰痛に悩まされる心配も少ないので身体のことを考えると軽い方がいいのかもしれませんね。
まとめ
- 「軽いギター=良いギター」ではない
- 音の良し悪しは使用している木材やハードウェアのバランスによって決まる
- 重いギターは低域がよく鳴り、太くてコシのある音となる傾向にある
- 軽いギターは中高域がよく鳴り、アタックの強いキラキラした音となる傾向にある
今回紹介した重さによる特徴はあくまで傾向です。
軽いのにズッシリとした音のギターもありますし、その逆のパターンもあります。
先述の通りギターの良し悪しは重さよりも使用されている木材やブリッジやペグなどのハードウェアのバランスで決まりますのでギターを選ぶ際には重さだけで判断せず、実際に手にとって音を出してみることが大切です。