縁の下の力持ち!? トラスロッドあれこれ

ギター
トラスロッド 調節

ネックの中に仕込まれている金属製の棒、トラスロッド。

ネックの反りを調節するときにしか触ることもありませんし、問題なく機能していればトラスロッドに関して気にする方はほとんどいないのではないでしょうか。

そこで今回は縁の下の力持ち的な役割を持つトラスロッドの役割や仕組みについて詳しく紹介していきます。

 

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トラスロッドの役割

トラスロッドには「ネックの反りの調整」と「ネックの補強」の2つの役割があります。

ネックの補強

ギターのネックには40〜70kgほどの弦の張力が常にかかっています。(ベースに至っては100kgに迫るものも!)

その荷重を5cm前後の木の棒(ネック)だけで支えるのは強度的には不安ですし、かと言ってネックを太くしすぎるわけにもいきません。

そこでネックの内部に鉄の棒を仕込んで補強してやろう、というのがトラスロッドの役割の1つです。人間でいう骨のような部分ですね。

 

ネックの反りの調節

ほとんどのネックは木で作られているため、気温や湿度の変化によって収縮したり膨張したりします。

それによってネックも順反りになったり逆反りになったりし、場合によっては弾きづらくなってしまいます。

また、新品のギターはフレットや指板材がネックと馴染みきっておらず、馴染むまでの間にネックが反ってしまうこともあります。

そういった環境の変化(ネックの変化)にも対応できるように、トラスロッド自体の効きを強くしたり弱くしたりさせる機構を備えさせたわけです。

また、張られている弦のゲージを変えると自ずとネックにかかる張力も変わってしまうため、ゲージ変更時の調整用としての側面もトラスロッドにはあります。

 

トラスロッドの仕組み

トラスロッドは以下の図のようにネックに埋め込まれています。

トラスロッド 仕組み

これはあくまでイメージですが、トラスロッドは横から見ると弓のような形状をしています。材質は鉄製がほとんどですが、グラファイトのような素材で作られていることも。

トラスロッドの端面は片方にだけボルトやナットが取り付けられており、ネックの端から露出しています。(もう片方はネック内にあります)

この露出したナットやボルトを締めていくと、ロッドには一直線になろうとする力が強く働くようになります。このロッドが真っ直ぐに戻ろうとする力を強くしたり弱くしたりすることで、ネックの反りを調節できるようになっているわけです。

トラスロッドはネックの中心付近に1本だけ埋め込まれているのが一般的ですが、リッケンバッカー製のギターなど、2本入っているものも存在します。

 

トラスロッドの調節

先述の通りトラスロッドはナットやボルトの締め具合によって調節することができます。締めると逆反り方向へ、緩めると順反り方向へと曲がります。

順反りだと弦高を上げても弦がビビってしまい、逆反りだと1〜5フレットあたりだけビビる、などの症状が出る傾向にあります。

基本的にネックは少し順反りになっている状態がベストです。

 

ネック反りの確認方法はしっかりとチューニングをした状態のギター1弦か6弦の1フレットと最終フレットを押さえます。

この状態で1フレットと最終フレットの中心にあたるフレット(10〜12フレット)と弦との隙間をチェックしましょう。

隙間が0.5mmくらいならOKで、隙間が大きいと順反り、隙間が少ないもしくは隙間が無い場合は逆反りとなっています。

順反りならトラスロッドを締め(右回し)、逆反りなら緩め(左回し)ます。1回あたりに回す角度は30〜45度ほど。

また、調節の際には極端にトラスロッドの締め具合を変えないようにしましょう。極端に締め具合を変えてしまうと指板材が剥がれたり、ネックが波打ってしまったりするおそれがあります。トラスロッドの調節(回転)は1日あたり90度くらいまでにしておきましょう。

また、ネック反りを調節するとチューニングがずれてしまうため、調節後に弾く際はチューニングを合わせましょう。

 

最後に

  • トラスロッドには「ネックの補強」と「ネック反りの調節」の2つの役割がある
  • 弓状に曲げることでネックの反りを調節できるようになっている
  • 調節は少しづつ行わないと指板剥がれやネックの波打ちにつながる

トラスロッドは直接サウンドに影響を与える部品ではありませんが、ギターを構成する上でとても重要な役割を持っていることがわかりました。

一度ネックが安定してしまえばほとんど触る必要のない部分ですが、弾きやすさを維持するためにはこまめに確認してあげることが大切ですね。

 

 

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