指板材やアコースティックギターのサイド/バック材として有名なローズウッド。
エレキギター、アコースティックギター問わず使用されることの多い木材ですのでギタリストにとっては割と身近な存在かと思います。
一昔前まではよく使われていた材ですが、近年では環境保護の観点から流通が厳しく制限されるようになってきています。
今回はそんなローズウッドが持つ特徴や種類などについて紹介していきます。
そもそもローズウッドとは?
日本では「紫檀(したん)」と呼ばれています。
ローズと言ってもバラの花の木ではなく、ローズウッドの木から採れた材木がバラのような香りであったことからこう名付けられたようです。
南米やアフリカ、中央アジアなどの熱帯や亜熱帯の幅広く分布し、数多くの種類が存在します。
ローズウッドの木から採れる材木は暗い赤や紫色をしており、黒っぽい縞模様の杢目(もくめ)が現れるのが特徴。ギターのほかにも家具や仏壇、ビリヤードのキューなど、様々な用途で使用される木材です。
ローズウッドは硬く、ヤニ(油分)が多く含まれているため耐候性や耐腐食性に優れています。幅広い分野で使用されるのはこういった理由があるからなんですね。
マホガニーなどと同様違法に伐採されていたこともあって、先述の通り現在では多くのローズウッドがワシントン条約によって保護されています。
ローズウッドの特徴
ローズウッドはアコギのサイド/バック材や指板材に使われることの多い木材です。
中にはボディ、ネック、指板が全てローズで作られたギターも数は少ないものの存在します。
まず、ボディやネック材としてローズウッドを使用した場合、クリアで低域から高域までバランスよく鳴るギターとなる傾向にあります。また、サスティーンの伸びも良いのが特徴です。
どんなジャンルにもマッチする汎用性の高い材です。
指板材としてローズウッドを使用すると音の立ち上がりがマイルドになり、低域から中域がよく出た粘りのある音になります。
イメージとしてはGibson系のサウンドといったところでしょうか。
また、ローズウッド指板は適度な柔らかさを持っているため、フレット交換が比較的容易なのも嬉しいポイントです。
ローズウッド、同じ材でも使用する部位によって特徴が変わるのは面白いですね。
ローズウッドの種類
インディアン・ローズウッド
インド西部原産の木で、現在は東南アジアでも植林されています。
数あるローズウッドの中でも比較的入手しやすいのがこのインディアン・ローズウッド。
ギターの材質のところに「ローズウッド」とだけ書かれていた場合は大抵インディアン・ローズウッドが使われています。
ローズウッドの中では比較的柔らかく軽量であるため、温かみのある音となります。
ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
その名の通りブラジル原産のローズウッドです。言わずと知れた超高級材、キング・オブ・ローズウッド。
当初は普通に使用されていた材でしたが、森林の住宅地化による減少や政府による保護によってかなり希少性の高い材となりました。
外観の個体差が大きいのが特徴で、色は赤みがかったものから真っ黒なものまで、杢目は派手なものからシンプルなものまで、個体によって様々な顔が見られるのも魅力の1つ。
比較的硬めであるため、ローズウッドの中ではやや高域の出たブライトな音となります。
ホンジュラス・ローズウッド
高騰化するブラジリアン・ローズウッドの代替材として使われるようになったのがホンジュラス・ローズウッドです。ニューハカランダとも呼ばれています。
「ホンジュラス」と名前がついていますが、ベリーズというメキシコの横あたりにある国が原産です。ややこしいですね。
杢目はブラジリアンローズウッドと若干異なりますが、代替材として使用されるだけあって特性は似ており、きらびやかな音となる傾向にあります。
ココボロ
中南米原産のローズウッドです。赤みが強く、油分が多いのが特徴。
あまり指板に使用されることはなく、アコギのサイド/バック材に使用されることがほとんど。
ブラジリアンローズウッド以上に硬いため、メイプルに近いようなキラキラしたサウンドとなります。
キングウッド
ブラジルのごく一部に生育している木で、高級家具などにも多く使用される木です。
「木の王様」なんてすごい名前ですが、フランスのルイ14世などが使用する家具によく使用されていたこともあってこのような名前がついたそう。
適度な硬さを持つためレスポンスが良く、中域に特徴があります。マホガニーの特徴と似ていますね。
ローズウッド代替材
ワシントン条約などで保護されているローズウッドは高価であるため、近年ではローズウッドと性質が似ている木材が使用されるようになってきました。
今後ローズウッドなどと並んで主流になるかもしれない(?) ローズウッド代替材たちを紹介します。
パー・フェロー
中南米原産の木で、ローズウッドと比べてやや明るめの色が特徴。
音の立ち上がりが早く、クリアなサウンドが特徴で、イメージ的にはローズウッドというよりエボニーに近い感じです。
ブビンガ
アフリカ原産の木で、ブビンガから採れる材は赤褐色をしています。
乾燥による変化が大きいといったデメリットがありますが、非常に硬く重いため、低域は引き締まり、中高域はきらびやかなサウンドとなります。
まとめ
- 熱帯や亜熱帯に多く生息し、たくさんの種類がある
- 多くはワシントン条約で保護されており、年々入手が難しくなっている
- 近年は代替材も登場
- ボディ材として使用すると低域から高域までバランスのいい出音となる
- 指板材として使用すると粘りのあるマイルドな音となる
ローズウッドは多くのギターで使用されていますが、多く使われるのにはそれなりの理由があったからなんですね。
ギターを購入する際には「材料」という観点から選んでみるのもおすすめです。