ジミ・ヘンドリクス氏やエリック・クラプトン氏の使用で有名なエフェクター、ワウ。
カッティングにせよソロにせよ、ワウから奏でられる表情豊かなサウンドは他のエフェクターでは得られません。
今回はそんなワウの歴史や種類について紹介していきます。
ワウの歴史
そもそもワウはトランペット奏者クライド・マッコイ氏が1920年代後半に考案した奏法だと言われています。
動画のようにトランペットのベル(音が出る部分)に蓋のようなものを当ててワウワウさせています。
ワウの効果自体はかなり古くからあったんですね。
この効果をエレキギターに持ち込んだのはイギリスのアンプメーカー、VOXです。
1960年代のVOX製アンプには競合他社のアンプには付いていたミドル域のトーンコントロールが付いていませんでした。
このままではまずいと感じたVOXは傘下のメーカーにミドル域のトーンコントローラーの開発を依頼します。
こうして1966年くらいにワウペダルが誕生しました。
これまでにない独特なサウンドを持つワウペダルはジミ・ヘンドリクス氏などによる使用も相まって、瞬く間に世界中のギタリストへ浸透していきました。
ワウのサウンド
長々と文章で説明するのもなんなので、まずは動画でサウンドを確認しましょう。
ワウワウ言っています。
カッティングなどをはじめ、ギターの音色に表情を出したいときによく使われます。
ワウの中には特定の帯域(トーン)をカットする可変抵抗が組み込まれており、カットする帯域を連続的に可変させることでワウの効果を得ています。
ギターのトーンつまみを回すことでも同じような効果を得られます。
ワウの系統
ワウのサウンドを語る際にはVOX系、クライベイビー系、なんて言葉をよく聞きます。
VOX系のワウは
- 可変域は狭め
- マイルドで上品なサウンド
クライベイビー系のワウは
- 可変域は広め
- 激しく変態的なサウンド
といった特徴があります。
イメージ的にはカッティング向きなのがVOX、ソロ向きなのがクライベイビー、と言った感じです。
最近ではVOX系〜クライベイビー系とサウンドを調節できるモデルもあります。
ワウの種類
ワウペダル
自動車のアクセルペダルみたいな形のワウペダル。
最もメジャーかつスタンダードなワウです。基本的に「ワウ」といったらこのペダル型のワウを指します。
足でペダルを操作するため任意のリズムでワウをかけることができます。汎用性No.1のワウ。
オートワウ(エンベロープフィルター)
ピッキングの強さに対して反応するワウです。弱く弾けば浅くかかり、強く弾けば深くかかります。
足でペダル操作をする必要がないのでワウペダルでは再現できないような効果を得ることも可能。
似たようなエフェクトでエンベロープフィルターというものもありますが、こちらはピッキングの強さではなくディレイのようにタイム(周期)を指定してワウをかけるエフェクトです。
とはいったものの現状エンベロープフィルターはオートワウと混同して使われている場合が多いので、製品特徴をよく確認して購入しましょう。
フィックスドワウ
直訳すると「固定されたワウ」になります。いわゆる半止めワウですね。
操作をペダルではなくツマミで行うことによりワウを半止めにした状態で固定・維持することができます。
ワウを半止めすることで中域が強調され、鼻が詰まったような独特なサウンドになります。
マイケル・シェンカー氏やB'zの松本孝弘氏が使用していることでも有名です。
通常のワウペダルでも同じ効果を得られますが、毎回同じ位置で止める事は不可能なので半止めワウをよく使う方はフィックスドワウを導入してみるのもおすすめです。
おすすめワウ
JIM DUNLOP / GCB-95 CRYBABY WAH WAH
ジミ・ヘンドリクス氏の使用でおなじみのワウペダルです。「ワウといえばクライベイビー」と言われるくらい定番です。
攻撃的なワウサウンドが特徴で、表情豊かなサウンドを奏でることができます。
ボードに組み込みやすいミニサイズのクライベイビーもあります。
VOX / V847-A
クライベイビーと双璧をなすワウの定番です。
クライベイビーと比べてマイルドで上品なかかり方のため、扱いやすいワウペダルです。
Xotic / XW-1
価格は4万円程度とワウとしてはかなり高級なペダル。
4つのつまみによって幅広い調節が可能で、あらゆるジャンルにマッチする高品質なワウペダルです。
Electro-Harmonix / Q-TRON(Envelope Filter)
商品名はエンベロープフィルターとなっていますが、機能的にはほぼオートワウです。
つまみが少ないため直感的な操作が可能で、バランスの良いサウンドが特徴です。
まとめ
まとめるとワウには以下のような特徴があります。
- トランペット奏者であるクライド・マッコイ氏が1920年代後半に考案
- 現在の形のワウペダルは1960年代半ばにVOXが発売
- ロー〜ハイの特定の帯域をカットすることでワウのサウンドを実現
- ワウペダル、オートワウ、フィックスドワウがある
ワウは製品ごとにキャラクターの違いがはっきりしているエフェクターですので、お店で試奏したり試奏動画を見たりして、お気に入りのペダルを見つけましょう。