Fenderのギターやベースにはギターの名前の前に「American Professional」や「Dexuxe」みたいな名称が付いていることがほとんどです。
それらはモデルのグレードやシリーズを表すものなんですが、抽象的なのでいまいち分かりづらいですよね。ギターをパッと見ただけではあまり違いがわかりませんし。
そこで今回はFender2020年モデルにラインナップされているシリーズごとの特徴やコンセプトを紹介していきたいと思います。
Gibson編はこちら↓
スタンダードやスペシャルって何が違うの? 〜グレード徹底解剖(Gibson編)〜
Fender USA
American Professional
Fenderのギターの中で最もスタンダードなグレードです。
2016年まではAmerican Standardという名称でしたが、2017年にAmerican Professionalと名前を変えて登場しました。
American ProfessionalにはV-MODピックアップと呼ばれる専用開発ピックアップを搭載。Fenderらしいクリアで歯切れの良いサウンドのピックアップです。
また、ワンタッチで脱着可能なトレモロアームや、「Deep C」と呼ばれる新開発のネックシェイプなど、モダンな機能が数多く取り入れられています。
16〜24万円ほどで購入できます。
American Original
近代的な仕様のAmerican Professionalに対し、ビンテージギターの仕様をそのまま再現したモデルがAmerican Originalです。 American Vintageの後継モデル。
俗に「ビンテージモデル」と呼ばれている1950〜1970年代に生産されたギターと同一の材料や製造方法を採用しており、「新品のビンテージギター」とも言えるモデルです。ラッカー塗装で仕上げられているのもこのシリーズのポイント。
実売価格は27万円前後です。
American Ultra
American Professional以上に近代的な要素を盛り込んだシリーズがこのAmerican Ultra。 American Eliteの後継モデルです。
ハイポジションが弾きやすいようコンター加工されたネックヒールやロック式ペグ(ギターのみ)、プリアンプの搭載(ベースのみ)など、近代的な機能が数多くに取り入れられています。
指板のRはGibsonに近い10〜14インチになっており、ハイポジションでチョーキングしても音切れがしにくくなっています。
ピックアップにはパワフルさと繊細さを兼ね備えたUltra Noiselessピックアップを搭載。
実売価格は23〜28万円ほど。多機能な分価格も高めですね。
American Performer
American PerformerはFender USAのギターの中で最も安価で、実売価格は11万〜15万円ほど。
American Performerにはハイファイ(原音に忠実)で生々しいサウンドが得られるオリジナルのYosemiteピックアップが搭載されています。
そのほかにもトーンを絞ったときの音のこもりを軽減するGreasebucket Tone Systemや、Classic Gearと呼ばれる18:1のギヤ比を採用した新開発のペグなどFenderの新しい技術が数多く投入されています。
American Acoustasonic
アコギとエレキを足して2で割ったような見た目をしているこちらのギター、2020年に初めて登場したシリーズです。
ボディシェイプこそエレキの形をしていますが、中はアコギのようなホロウ(中空)となっています。
ピックアップが3基搭載されており、エレキギターのサウンドとアコースティックギターのサウンドの両方を出力することができます。また、2つの音をミックスして出力することも可能。
テレキャスターとストラトキャスターのラインナップで、価格は両者とも27万円ほど。
Fender Mexico
Vintera
ロック式ペグやコンター加工が施されたネックヒールや2点支持のトレモロ、ミニスイッチによる多彩なピックアップセレクトなど、近代的な要素を数多く取り入れたモデルです。
ピックアップは低ノイズなVintage Noiseless Pickupが搭載されています。
細かな仕様は異なりますが、コンセプト的にはAmerican Ultraのメキシコ版、といった印象。
実売価格は10〜15万円程度です。
Deluxe
1950〜1970年代に製造されたモデルのスペックを忠実に再現したモデルで、USAのAmerican Originalと同じようなコンセプトのモデルです。
American Originalよりも安価に(約10〜15万円)購入できます。
Fender Mexicoではビンテージを再現したモデルがVintera、近代的なモデルがDeluxeという棲み分けのようですね。
Player
Playerシリーズの最大の特徴がその価格。実売価格6〜10万円とFender製ギターとしては破格のプライスです。
ピックアップには通常モデルよりも少しエッジの効いたサウンドになるよう調整されたPlayerシリーズ専用のものが搭載されています。
そのほかにも2点支持トレモロやリヤピックアップのトーン調節も可能とした回路の採用など、価格以上のスペックを備えています。
また、Playerシリーズにはフロイドローズを搭載したストラトキャスターや2ハムのジャズマスターなどの一風変わった仕様のモデルがあったり、リードやデュオソニックなどのレアなモデルがあったりと、他のシリーズにはない独創的なラインナップが存在するのもPlayerシリーズの魅力のひとつです。
Fender Japan
Hybrid
Hybridはビンテージ的な要素とモダンな要素を合わせたFender Japanの軸となるシリーズです。
American OriginalやVintera同様様々な年代のモデルがラインナップされています。
ビンテージスタイルのロック式ペグ(ギターのみ)に2点支持のトレモロ(ブリッジはビンテージスタイル)、ピックアップにはビンテージトーンを再現したUS Vintageピックアップが搭載されています。
価格は9〜13万円ほどです。
Modern
Modernシリーズにはロック式ペグやコンター加工されたネックヒールなど、その名の通りモダンなスペックを盛り込んだシリーズで、Fender Japan版 American Professionalと言えます。
ピックアップは4th Generation Noiselessピックアップ(シングルコイル)、Modern Modified Humbuckingピックアップ(ハムバッカー)が搭載されており、どちらも激しい歪みにも対応できるハイパワーなピックアップとなっています。
「メタルにも使えるFender」という点では異色のモデル。
13〜17万円ほどで購入できます。
Traditional
こちらは50年代から70年代に生産されていたギターやベースを再現したシリーズで、USAのAmerican Originalに相当するモデルです。
細部までヴィンテージスペックを再現しつつもモデルによってはナット幅を通常より細くしてあり、ヴィンテージトーンと弾きやすさを両立したシリーズとなっています。
ムスタングや60年代後半のストラトなど、USA・Mexicoでは製造していないモデルまでラインナップされているのも特徴のひとつ。
10〜12万円ほどで購入できます。
まとめ
一口にFenderといってもUSA・Mexico・Japanとあるのでたくさんグレードがありますが、生産国は違えど基本的なコンセプトは以下の3つに分けられます。
- 新しい技術を盛り込んだモダンなモデル
- ヴィンテージスペックを再現したモデル
- お値打ちなモデル(モダンとヴィンテージのハイブリッド)
どのグレードにもそれぞれ違った良さがあるため、ご自身の予算やプレイスタイルにあったFender製ギターを選びましょう。
グレード解説(Gibson編)はこちら↓