【5分でわかる!】ギブソン ファイヤーバードの特徴

ギターギブソン
photo credit: Freebird_71 2009 Gibson Firebird via photopin (license)

ミニハムバッカーを搭載していたり、スルーネックを採用していたりとギブソン製ギターの中では独特の構造を持つギター、ファイヤーバード。

ジョニー・ウインター氏やローリング・ストーンズのロン・ウッド氏が使っていることでお馴染みのギターですね。

今回はそんなギブソン・ファイヤーバードの歴史や構造について紹介していきます。

 

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歴史

ファイヤーバードは1963年に登場したギターです。

当時ギブソンはストラトキャスターをはじめとしたフェンダー製ギターの人気に押されており、これに対抗する形でフライングVやエクスプローラーなどをリリースしましたが、なかなか市場の支持を得られていませんでした。

そんな中次なる一手としてギブソンがこの世に送り出したのがファイヤーバードです。

自動車のデザイナーであったレイ・ディートリッヒ氏がデザインしたボディや新開発のミニハムバッカー、ギブソン初のスルーネックの採用など、かなり力の入ったモデルでした。

発売以降も小規模な変更を繰り返しながら進化していったファイヤーバードですが、1966年に大幅なモデルチェンジを敢行。ボディを左右反転させたような形状とし、スルーネックからジョイントネックへ変更するなどしました。このファイヤーバードは「ノンリバースモデル」とも呼ばれています。

かなり気合の入った開発が行われたファイヤーバードでしたが、売り上げが低迷していたため1969年には生産を終了してしまいます。

レギュラーラインからは姿を消したものの、のちに限定モデルとして再生産されたり、後継機であるファイヤーバードⅡがごく少量ですが登場したりと完全に姿を消すことはありませんでした。

そして1990年、ついにレギュラーラインナップとして復活を果たし、現在に至るまで細かな仕様変更を行いながら生産が続けられています。

 

サウンド

高域に特徴のある歯切れの良いギターといった印象ですが、シングルコイルほど高域の主張は強くなく、程よいパワーがあるため扱いやすいサウンドとなっています。

ちなみにノンリバースモデルはリバーズモデルと比べると低域がよく出る傾向にあります。

レスポールほどマッチョではなく、ストラトキャスターほど繊細ではないちょうどいい塩梅のサウンドはどんなジャンルにも使えるオールマイティーなギターと言えますね。

 

構造

ボディ

ボディはマホガニー製。ファイヤーバードの多くはスルーネック構造であるため、ボディ材はネック材の両端に張り付けられるような形となっています。スルーネックの場合、ボディ材は「ウイング材」と呼ばれることもあります。

ファイヤーバードには1弦側のホーンが長い「リバースモデル」と6弦側のホーンが長い「ノンリバースモデル」の2種類のボディ形状が存在します。

世間一般的にはギブソンのファイヤーバードといえばリバースモデルのことを指しますが、ノンリバーズモデルも高い人気を誇っています。

ネック・指板

ネックもボディ同様マホガニー製で、ボディエンドまでネック材が伸びたスルーネック構造を採用しています。(一部セットネック構造のモデルもあります)

スルーネック構造はネックジョイント部がなくなることによってハイポジションの演奏性が向上したり、サスティーンの伸びが良くなったりといったメリットがあります。

モデルによってはペグも特殊で、バンジョーのペグのようなギヤのないものが採用されています。

指板はギブソンお得意のローズウッドで、ポジションマークはレスポールのようなブロックインレイやドット型インレイが採用されています。

ピックアップ

ピックアップは専用開発のミニサイズハムバッカーが採用されています。(通称「ミニハム」)

ミニハムバッカーは通常のハムバッカーと比べるとコイルの巻数が少なく、磁力も強くないためシングルコイルよりのブライトで歯切れの良いサウンドが特徴です。

ノンリバースモデルなど一部のモデルにはP-90がマウントされています。

ブリッジ

現行のファイヤーバードのブリッジはチューン・O・マチック+ストップバーテールピースの組み合わせですが、ビンテージの個体はマエストロ・ヴァイブローラと呼ばれるビブラートユニットが搭載されたモデルが一般的。

マエストロ・ヴァイブローラは板バネ式のビブラートユニットで、SGにも搭載されていることでお馴染みですね。

音程の可変量は小さいものの、ゴージャスな見た目となったり、ブライトなサウンドとなったりすることから人気を博しているビブラートユニットです。

 

いろいろなファイヤーバード

ファイヤーバードⅠ

ファイヤーバード発売当初にラインナップされていたモデルで、レスポールやSGでいうところの「ジュニア」に相当するモデルです。

ピックアップはミニハムバッカーがリヤにのみ搭載され、テールピースとブリッジを一体化したライトニングバーブリッジを採用。そのほかにもバインディングを廃していたりポジションマークをドット型にしたりと、徹底的なコストダウンが図られています。

安いから音はイマイチ、なんてことはなく、クリーム時代のエリック・クラプトン氏も愛用していたことから、価格だけでは語れない魅力的なギターであるといえますね。

ファイヤーバードⅢ

「スペシャル」に相当するモデル。

フロントピックアップやバインディングが追加され、それに合わせてコントロールも2ボリューム・トーンとなっています。ショートヴァイブローラが搭載されているのもこのモデルの特徴です。

ビンテージのファイヤーバードの中で最も個体数が多く、中古市場でもよく見かけます。

ファイヤーバードⅤ

「スタンダード」に相当するモデルです。現行のファイヤーバードはこのモデルをベースにリイシューされています。

電気系統の仕様はⅢと同一ですが、レスポールのようなブロックインレイがおごられ、見た目も豪華なデラックス・ヴァイブローラー(ロング・ヴァイブローラ)も搭載されています。(動画のモデルには搭載されていません)

また、オクターブ調整が可能なチューン・O・マチックもこのグレードから搭載されるようになります。

ファイヤーバードⅦ

シリーズ最上位機種、「カスタム」に相当するモデルです。

3ピックアップにデラックスヴァイブローラ、ゴールドハードウェアなど、最上位を謳うだけあってかなり豪華な仕様となっています。

生産本数は300本程度と非常にレアなモデル。

ファイヤーバードⅡ

1982年にごく少量生産されたファイヤーバードです。

ボディシェイプは通常のファイヤーバードとは微妙に異なっており、ピックアップも通常サイズのハムバッカーが搭載されています。

内部には1970年代に生産されていたRD Artistのアクティブ回路が搭載されており、イコライザーやコンプレッサーをギター側でかけることができるハイテクなファイヤーバードなのです。

ファイヤーバードX

2011年に発売されたモデル。

ノンリバースのボディに3機のミニハムバッカーやマルチエフェクター、自動チューニングなどギブソンが持つハイテク技術を詰め込んだギターです。

ほかにもBluetoothでコントロールできたりピエゾピックアップも内蔵していたりと超多機能なギターでしたが、価格は約60万円と高額であったためかほとんど売れなかったそうです。

 

 

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