アンガス・ヤング氏やトニー・アイオミ氏、近年ではデレク・トラックス氏の使用で有名なギブソン・SG。
2代目レスポールとして登場したギターは、SGに名前が変わっても世界中のロックギタリストを魅了しています。
今回はそんなSGの歴史や特徴を紹介していきます。
歴史
SGはレスポールの2代目として1961年に発売。このため発売当初は「レスポール」の名を冠していました。
初代レスポールは重く、パワーがありすぎたため当時の音楽シーンにおいては扱いづらく、フェンダーに売り上げが流れてしまっていました。
そこでギブソンはフェンダーに対抗すべく、レスポールの難点であった重さやハイポジションの演奏性を改善し、モデルチェンジという形で発売されました。
しかし2代目レスポールはレス・ポール氏の許可なく勝手に開発・販売がなされていたため、快く思わなかったポール氏は1963年にギブソンとの契約を打ち切ってしまいます。
このことで「レスポール」の名前が使えなくなってしまったギブソンは、代わりにソリッドギター(Solid Guitar)の頭文字を取ったSGという名前をつけて販売するようになりました。
名前に関しては紆余曲折ありましたが商業的には成功しており、現在まで一度も途切れることなく生産が続けられています。
サウンド
ピックアップ自体はレスポールと同じハムバッカーが搭載されていますが、ボディが小型・軽量であるためレスポールほどのマッチョさはなく、中域の出たサウンドが特徴です。
中域が強すぎると感じることもありますが、重すぎず、軽すぎないサウンドは扱いやすく、どんなジャンルにもマッチするギターです。
構造
ボディ
SGのボディはコスト低減のため、マホガニーのみで構成されています。
レスポールの欠点であった重さを改善すべく、ボディを小型化し、ハイポジションが演奏しやすいよう深い切り込みの入ったシェイプとなっています。
このため立って引いた際のバランスが悪く、ヘッド側に傾いてしまう「ヘッド落ち」と呼ばれる症状が発生しやすくなっています。滑りにくいストラップをつけることによってある程度は対策可能です。
また、ボディの角が身体に当たっても痛くないように全周にコンター加工(ベベルドエッジ)がされているのも特徴です。
登場当初はスモールピックガード、1966年から1972年の間はラージピックガードが採用されています。
現行モデルは年によってスモールだったりラージだったり、まちまちです。
ネック・指板
ネックはレスポール同様マホガニー製。
22フレット付近にボディとのジョイント部があるためハイポジションの演奏性は非常に良好です。
1960年代に生産された個体は仕様が定まっておらず、製造年によってネックシェイプやジョイント位置が微妙に異なっています。
指板はほぼ全てのモデルでローズウッド、カスタム等一部のモデルにはエボニーが使用されています。
ピックアップ
レスポールと同型のハムバッカーが2つ搭載されています。
モデルによってはP-90を搭載したものもあります。
ブリッジ・テールピース
SGのブリッジはレスポールと同型のチューン・O・マチックと板バネ式のビブラートユニットを搭載したモデルに分けられます。
市場に出回っているSGの9割近くがチューン・O・マチック。ビブラートユニットを搭載した個体はあまり見かけません。
いろいろなSG
スタンダード
最もスタンダードなスペックのSG。
生産年によってラージピックガードだったりスモールピックガードだったりしますが、ラージピックガードの生産年にはスモールピックガード仕様の'61 Reissueもラインナップされることがほとんど。
また、ビブラートユニット付きのモデルが販売されることも。
ジュニア
バーブリッジの採用やバインディングやポジションマーク等を簡素化、P-90ピックアップを1基のみ搭載する、などコストダウンが図られたグレード。
入門向けモデルとしてスタンダードと同時期に発売したモデルです。
2021年現在13万円程度で購入できるお得なモデルですが、サウンドはスタンダードなどには決して劣らず、人気の高いギターです。
スペシャル
スタンダードとジュニアの中間に位置するモデル。
スタンダードをベースにポジションマークの簡素化、オープンハムバッカーの採用など、スタンダードのスペックを維持しつつコストを抑えたモデルとなっています。
カスタム
SGの最上級グレードです。
ホワイトボディにゴールドパーツ、3ピックアップ、エボニー指板など、スタンダードよりも多機能かつ豪華な仕様となっています。
スタンダード同様ビブラートユニットのあり・なしが存在します。
現行のSGカスタムは全てギブソンカスタムショップで製作されています。
EDS-1275
ネックを2つ持ったダブルネックギターです。世界初のダブルネックギター。
片方は一般的な6弦ギターで、もう片方は12弦ギターとなっています。
コードプレイは得意なもののソロプレイには向かない12弦ギターを一般的な6弦ギターとひとつにすることで一粒で二度美味しいギターです。
モデル名から見てもわかるようにES-175をルーツとしており厳密にはSGではありませんが、ボディシェイプがSGっぽいこともあってかギブソンのサイト内ではSGに分類されています。