人は貪欲なもので、気に入ってギターを買っても何年かすると「もっと良い音を出したい」とか「もっと弾きやすくしたい」なんて考えが出てきます。
そういった場合、1つの手段となるのが「改造」です。
一口に改造といっても色々ありますが、ペグやナットなど追加工が必要な部品やピックアップなどの電気的な部品を自前で交換できる人というのはそう多くはいないのではないでしょうか。
DIYが得意な人ならなんの問題もありませんが、すべての人がそうとも限りません。
そこで今回は誰でも簡単にできてかつ効果を実感しやすい改造手法を紹介していきます。
どんなギターにもできる改造
ナットの潤滑
チューニングを行なっている際に「ピキンッ」といってチューニングが大きく変わってしまう... なんてことありますよね。
あれはナットの溝にゴミが噛んでいたり、滑りが悪くなっていたりする時に起こる現象ですが、実は身近にあるもので解決できちゃうんです。
用意するものは使い古した歯ブラシと鉛筆(シャーペンでも可)。
まずは弦を外し(弦交換のタイミングで行うと良い)、ナットの溝を歯ブラシで清掃しましょう。
その後ナットの溝を鉛筆やシャーペンで塗りつぶすことで、鉛筆に芯に含まれる黒鉛が潤滑剤の役割を果たしチューニングが安定します。
ナットが黒ずんでしまうのはデメリットですが、抵抗がある方は市販のナットやブリッジ専用の潤滑剤を使用するのがおすすめです。
Freedom Custom Guitar / SP-P-09 をサウンドハウスで見る
Fat Fingerの取り付け
Fat FingerはFenderより発売されているヘッドにつける重りです。
この製品はFender製ですが、ヘッドに挟み込むだけの単純な構造なのでどんなギターにも取り付け可能。
こんなので何が変わるんだと思ってしまいますが、Fat Fingerは取り付けることによってデッドポイントが少なくなったりサスティーンが向上したりする、と言う触れ込みの一品。
なんだかオカルト臭いですが「ヘッドの余計な振動を吸収して弦の振動を最大限に引き出す」といった理論に基づいたアイテムで、取り付ける場所によっても変化が生まれます。
デッドポイントが気になる場合に使ってみるのが良いでしょう。
ブリッジの交換
ブリッジも比較的簡単に交換できる部品のひとつ。
素材や形状に工夫を凝らした多様な製品がラインナップされており、出したい音の傾向に合わせたチョイスが可能となっています。また、品質の良いブリッジに変えることでチューニングの安定性も向上します。
Fender系のギターであればサドルを、Gibson系のギターであればブリッジを丸々交換するのが定番。
ブリッジに限ったことではないですが、ギターによってネジの規格が異なる(ミリ規格とインチ規格)ため購入の際は注意しましょう。
フレットウェッジの取り付け
ブロックの上にスポンジが貼られたようなこの部品は、フレットウェッジと呼ばれるナットのすぐ上に取り付けるパーツです。
ウェッジ上部に付いたスポンジがナットからペグにかけての弦の共振を抑えてくれるので、不要な倍音を抑制したりノイズを低減してくれたりといいことづくめ。
価格は2500円前後とやや割高感はありますが、タイトで締まった音が欲しい方にはおすすめのパーツです。
Fender系ギターの改造
ストリングガイドの交換
Fender製ギターのヘッドの1、2弦部分には、弦のテンション(張力)を稼ぐためのストリングガイドがついています。
このストリングガイド、経年劣化で錆びてきたり工作精度が悪かったりするとチューニングが狂いやすくなり、最悪の場合は弦を切ってしまうおそれもあります。
ネジ1本で止まっているため交換は容易で、ローラー付きのものや特殊素材でできたものなど様々な製品が販売されています。
外してしまうのも手段としてはありますが、テンションが緩すぎてかえって弾きにくくなってしまうおそれがありますのでやめておきましょう。
ネックプレートの交換
ボルトオンネックのギターはボディとネックを止めているところにネックプレートと呼ばれる鉄板がついていることがほとんどです。
この部品を交換してやることで締まった低音にしたりキラキラした高音にすることができます。
厚みや素材で変化の仕方が変わるのでレビュー等を参考にチョイスするのが賢明です。
私もストラトにFreedom Custom Guitar Research製のプレートをつけていますが、意外と効果があるのでおすすめです。
比較的簡単に交換できる部品ですが、3000〜4000円くらいとやや値が張るのがデメリット。
トレモロスプリングの交換
シンクロナイズドドレモロやフロイドローズなどのトレモロユニットを搭載したギター限定ですが、スプリングを交換したり、張り方や本数を変えたりすることで、音やアーミングのタッチに変化をもたらすことができます。
一般的に本数が少ないと抜けのいいウォームなトーンに、逆に多いと張りのあるタイトなトーンになる傾向にあります。
硬さに関しては、硬ければ硬いほど金属的な音に、柔らかいとビンテージ感あるいなたい音になる傾向にあります。
このあたりはサウンドはもちろんアーミングのしやすさなどと相談して決めたいところです。
Gibson系ギターの改造
テイルピースの交換
弦のボールを受けるテイルピースもブリッジなどと同様弦が直接触れているので交換によりサウンドに影響を及ぼします。
テールピースは大まかに分けるとニッケル製とアルミニウム製に分かれます。
ニッケル製のテールピースは硬めでモダンな音、アルミ製のテールピースはビンテージ感のある暖かめの音となる傾向にあります。
ご自身のギターのテールピースがニッケル製なのかアルミ製なのかわからない場合は、磁石を近づけてくっつけばニッケル、くっつかなければアルミ、といった方法で判別できます。
弦の交換時にテールピースがスタッドボルトから外れないよう固定する機構を持ったものも販売されています。
多くの場合スタッドボルト やアンカーとセットで販売されていますが、探せば単品での販売もあります。ボルト同士の幅やスタッドボルトの径に注意して選びましょう。
スタッドボルトの交換
テールピースを受けるスタッドボルトも改造できるポイントのひとつ。
交換だけでなくスタッドボルトの高さを変える(=テールピースの高さを変える)こと弦のテンションを調節することもできます。
スタッドボルトはボルト長をを長くすることでボディに弦の振動が伝わりやすくし、鳴りをよくするといった改造が多くみられます。
購入の際はネジの外径やネジ山のピッチに加え、ボルトの全長にも注意しましょう。全長が長すぎると底つきしてテールピースが高くなってしまい、弦のテンションが低くなりすぎてしまうおそれがあります。あらかじめ適切な長さを確認しておきましょう。
最後に
様々な改造を紹介しましたが、実際どんなふうに変化するのかは取り付けてみないとわからないのでギャンブルのような側面もありますが、どの部品も試してみる価値はあると思います。
また、繰り返しになりますが部品を交換する際にはご自身のギターに適合しているか確認してから購入しましょう。特にネジの規格には要注意です。
自らの手で改造を行うことによって、好みの音に近づくだけでなくより愛着が湧くようになるため是非一度試してみてはいかがでしょうか。