ネックや指板は常にギタリストの手に触れる部分であり、その形状はギターの演奏性を大きく左右します。
人間の手というのは意外と繊細で、太さが1mm違うだけでも受ける印象は大きく異なります。
そこで今回はネックや指板Rの形状が演奏性や音にどんな違いをもたらすのかを紹介していきます。
ネックの形状の種類と弾き心地
ギターのネックは断面形状から大きく以下の4種類に分けることができます。
1.Uシェイプ
カマボコのような形をした太いネックです。
初期のテレキャスターなど、古い年代のギターに多く見られるネック形状です。
VシェイプやCシェイプなどと比べると太く演奏しづらいものの、生鳴りが非常に良くなり太くコシのある音となります。
このサウンドを求めてあえて極太のUシェイプを選ぶギタリストもいます。
2.Vシェイプ
Uシェイプを尖らせたようなシェイプ。Uシェイプのネックの厚みはそのままに両端の角を削り込むことによって演奏性を向上させています。
握り込みやすい形状をしたいるためコード弾きに向いたネックシェイプです。
トンガリ具合で「ソフトV」や「ハードV」に分けることができます。
3.Cシェイプ
Uシェイプを薄くしたモダンなシェイプです。
演奏性の良さは群を抜いており、テクニカルなプレイをする方にはうってつけ。
Uシェイプのようなマッチョさは無いものの、薄くなることによってネック自体が鳴るようになるためネック材の特性が出やすいネックシェイプです。
4.非対称
6弦側と1弦側で形状の異なるネックシェイプで、ミュージックマン製のギターなどに採用されています。
人間工学に基づいた形状をしているため、Cシェイプよりも弾きやすいと言われているシェイプです。
指板R
指板Rとは
指板をボディ側やナット側から見てみると直線ではなく微妙に円弧を描いています。
これは演奏性を高めるためにつけられているもので、円弧の大きさはもネックシェイプ同様弾き心地に大きな影響をもたらします。
円弧の大きさはラジアスで表されます。このラジアス、日本語で「半径」という意味で、「Radius」の頭文字をとって「R」で示されます。
例えば半径100mmの円弧であれば「100R」といった感じで表します。(数字の前に"R"が付く場合もあります)海外製のギターはインチ表記となっていることもありますので注意しましょう。
Rの前に付く数字が小さくなると円弧はきつくなり、大きくなると緩やかな円弧となります。
指板Rによる演奏性の変化
指板Rはメーカーによって様々ですが、フェンダー系であれば194Rや241R、ギブソン系であれば305Rが一般的です。
194RのようにきつめのRだと握り込みやすいためコード弾きには有利ですが、構造上弦高はあまり下げられず、ハイポジションをチョーキングすると音が詰まってしまいます。
逆にゆるいとセーハ等がやりにくくなりますが、弦高が下げやすくチョーキング時の音詰まりが少なくなるためリードプレイやソロプレイに向いています。近年では400Rほどの平らな指板も登場してきています。
また、ハイポジションになるにつれて指板Rがなだらかになっていく「コンパウンドラジアス」も人気です。
コード弾きで多用するローポジションはきつめのRで、チョーキングやビブラートをかけることの多いハイポジションはゆるいRとなっており、両者のいいとこ取りをしたスタイルです。
まとめ
ネックシェイプについて
- ネックの断面形状はUシェイプ、Cシェイプ、Vシェイプに分けられる
- 太いネックは弾きづらいが、太くコシのある音となる
- 細いネックは弾きやすく、ネック材の特性が出やすい
指板Rについて
- 指板は演奏性を高めるため微妙にカーブしている
- カーブがきついネックはコード弾きがしやすいが弦高が下げづらく、チョーキング時の音詰まりが起きやすい
- カーブがゆるいと弦高を下げやすく、音詰まりが起きにくい
ネック形状も指板Rも知識としてだけでなく実際に体感してみることも重要です。実際に細いネックよりも太いネックのほうが弾きやすい、なんてこともあります。
プレイに大きく影響する部分ですので、いろいろなネックを弾き比べてご自身に合ったネック形状を見つけましょう。