レスポールの後継機種として1961年に登場したギブソンSGですが、製造された年代によってピックガードが大きいものと小さいものとが存在します。
現代のSGも年によってラージピックガードだったりスモールピックガードだったり、まちまちです。
2つの種類があるのは何かしらの理由があるはずです。
そこで今回はギブソンSGのピックガードの違いがもたらす影響や、ピックガードに2つの種類が生まれた理由などを解明していこうと思います。
スモールピックガード
スモールピックガードはその名の通りピックガードが小さいタイプのものを指します。
有名ミュージシャンに使用されていることが多いため「SGと言えばスモールピックガード」と思われる方も多いでしょう。
スモールピックガードの歴史
SG(当時はレスポールという名前でした)が登場した1961年当時はスモールピックガードを採用していました。
エスカッション(ピックアップ周りにあるプラスチック製の枠)でピックアップを固定し、ピックガードは別で取り付ける、といった先代モデルであるレスポールのスタイルを踏襲した仕様となっています。
当初はカスタム、スタンダード、スペシャル問わずほぼ全てのモデルでスモールピックガードを採用していました。
1966年以降一旦はラージピックガードにその座を奪われるものの、1971年には復活し、現在も製造されています。
スモールピックガードのサウンド
スモールピックガードはエスカッションを介しているものの、ピックアップはほぼボディ直付けに近い状態ですのでマホガニー本来の太く中低域が良く出るサウンドとなります。SGらしいサウンドとも言えますね。
木材の良し悪しの影響を受けやすいマウント方式とも言えますので、鳴りの良い木材で作られたスモールピックガードの個体はえも言われぬ良さがあります。
ラージピックガード
海外では「バッドウイング」とも呼ばれるラージピックガードは、6弦側まで大きく回りこんだピックガードが特徴です。
映画「School of Rock」の主人公が使用していたのもラージピックガードのSGです。
ラージピックガードの歴史
スモールピックガードのSGが登場して5年の月日が流れた1966年、SGはマイナーチェンジの一環でピックガードを大型化しました。
ギブソンがSGをラージピックガード化した最たる理由はズバリ「生産性向上のため」です。
フェンダーのストラトキャスターのようにピックガードにピックアップを固定することで生産性を上げようとした結果、あのようなデザインのピックガードとなったわけです。
しかしイマイチ受けがよくなかったのか1971年にはスモールピックガードが復活、翌1972年にはスモールピックガードの生産のみとなり、ラージピックガードは一旦姿を消してしまいます。
ギブソンのレギュラーラインでラージピックガードが復活するのは1991〜1992年ごろ。SG Specialに搭載され、復活を果たします。
その後ラージピックガードはSG SpecialやSG Fadedなどの低グレードのモデルに多く採用されていたこともあり、世間では ”ラージピックガード=低価格帯のSG” というイメージがついてしまいました。
しかし近年Standardでもラージピックガードを採用しており、実際のところ ラージピックガード=低価格帯のSG というのは間違った認識と言えます。
ラージピックガードのサウンド
ラージピックガードのSGはピックアップがピックガードを介してボディに固定される、いわゆるストラト方式でピックアップが固定されています。
そのためスモールピックガードの物と比べるとストラトっぽい、もっと言えば高域のやや出たブライトな音となる傾向にあります。
まとめ
スモールピックガードの特徴
- 1961〜1966年、1971年〜現在にかけて生産されている
- 先代のレスポールのスタイルを踏襲したデザイン
- 太く中域に特徴のある「SGらしい」サウンド
ラージピックガードの特徴
- 1966〜1971年、1992年頃〜現在にかけて生産
- ピックガードにピックアップをつけることで生産効率を上げることを狙ったデザイン
- ストラトっぽいブライトなサウンド
SGにスモールピックガードとラージピックガードが存在するのはライバルであるフェンダー社やコストカットの影響からなんですね。
もちろんラージは低コストだからダメなんてことは全くなく、どちらも違った魅力を持っています。
デザインの面でもそうですが、実際に弾いてみて気に入ったものを選べると良いですね。