Gibson系ギターに使用されることの多いマホガニー。レスポールのバック材やSGのボディ材などに使用されていることで有名です。
ギター界ではメイプルやアッシュなどと並んで定番の木材ですが、果たしてどんな特徴や種類があるのでしょうか。
今回はそんなマホガニーが持つ特徴などの魅力に迫っていきたいと思います。
そもそもマホガニーとは?
日本語では「桃花心木」と書きます。キラキラネームみたいですね。
マホガニーは中南米原産の木で、現在は材木用に東南アジアにも植林されています。日本には自生していません。
マホガニーの木は直径約2m、大きいものだと45mほどの高さとなり、かなり大きい木であることがわかります。
マホガニーは加工のしやすさや赤みがかった美しい杢目(もくめ)から、ギターだけでなく家具などにも使われます。
ギターの製造が始まった頃には比較的安く入手しやすい材であったため、ギター材としてマホガニーが使用されるようになったそう。
そんなマホガニー、高値で売れることからギャングの手によって違法に伐採されていた過去があり、現在ではワシントン条約で保護されている木です。マホガニーを輸出したり輸入したりする場合は盗品でないことを示す証明書が必要となっています。
そのため良質なマホガニーを入手するのはだんだん難しくなってきており、良質なマホガニーを使用したギターは年々数が減って高価になってきています。
マホガニーの特徴
冒頭で紹介した通り、マホガニーはGibson系のギターによく使用されます。
古くからボディ材やネック材として使われていますが、指板材として使用されることは全くと言っていいほどありません。
マホガニーを使用したギターはやや中域の出た粘り強く太い音となり、メイプルやアッシュなどと比べて柔らかいのでやや輪郭のぼやけたような音となります。
このような特性から、マホガニーで作られたギターはハムバッカーとの相性が良いとされています。(事実マホガニー製ギターの多くはハムバッカーが搭載されています)
マホガニーの種類
世間でマホガニーと呼ばれているものには「正真正銘本物のマホガニー」と「マホガニーではないが性質が似ているためマホガニーの代替材になっているもの」の2種類あります。
1.マホガニー
「マホガニー」と呼ばれる木はマホガニー、オオバマホガニー、メキシコマホガニーの3種類のみ。
その中でギターに使用されるのはオオバマホガニーとメキシコマホガニーの2つです。
1.1 オオバマホガニー
北米から南米まで広く生息しているマホガニーです。ホンジュラスという国で採れることからホンジュラスマホガニー(ホンマホ)とも呼ばれています。
現在では東南アジアでも材木用に栽培されており、マホガニーの中では最も安く、入手のしやすい材です。
1.2 メキシコマホガニー
メキシコ近辺に生息しているマホガニーです。こちらもホンジュラスマホガニーと呼ばれることもあります。
オオバマホガニーと比べると数は少ないものの、こちらもお安く入手できることからギターに使われることの多いマホガニーです。
2.マホガニー代替材
近年では高騰化するマホガニーに代わって、マホガニーではないものの重さや硬さが似ている材(代替材)を使用するギターも登場しています。
これらの材を使用したギターの中には、正真正銘のマホガニーでないのにも関わらず使用材に「マホガニー」と書かれている場合もありますので注意が必要です。
2.1 アフリカンマホガニー
西アフリカ原産の木で、「カヤ」とも呼ばれます。
マホガニー代替材の代表格です。
硬さはマホガニーとほぼ同一で、杢目もそっくりであることからギター以外にもマホガニー代替材としてよく使われる木材です。
2.2 フィリピンマホガニー
その名の通りフィリピンが原産の木です。「レッド・ラワン」と呼ばれることもあります。
マホガニーよりもやや柔らかく、赤みの強い色をしています。そのためギターに使用した場合、角の取れた温かい音になります。
2.3 サペリマホガニー
西アフリカ〜中央アフリカ原産の木で、アフリカンマホガニーと並んで代替材として使用されることの多い木です。
フィリピンマホガニー同様硬さではややマホガニーに劣るため、ギターに使用するとマホガニーよりもややマイルドな音となります。
まとめ
- マホガニーは中南米原産の高さ45mにもなる大木
- 違法に伐採されていたこともあり、一部はワシントン条約で保護されている
- 価格が高騰してきているため多くの代替材がある
- 粘り強い中域が特徴でハムバッカーとの相性が良い
ギターの定番材であるマホガニーですが、多く使用されるのにはそれなりの理由があったわけなんですね。
ギターを選ぶ際には使用されている木材にも目を向けてみるのも面白いかもしれません。