エレキギターの心臓部ともいえるパーツがピックアップです。
弦の振動を電気信号に変換する重要な役割を持つ部品ですが、中身を見る機会はそうそうありませんし、どういった仕組みで音が出ているのか知らない方がほとんどだと思います。
そこで今回はそんなピックアップの構造や音の出る仕組みについて紹介していきます。
マグネティックピックアップ
マグネティックピックアップの構造
マグネティックピックアップはストラトやレスポールなどのエレキギターに搭載されているピックアップで、その名の通りマグネット(磁石)を使用したピックアップです。
カラオケなどで使うマイクは空気の振動を電気信号に変換していますが、エレキギターに搭載されているピックアップは磁界の変化を電流に変換しています。
このためエレキギターの弦には磁石と反応する(くっつく)鉄製の弦が使われています。
最もシンプルな構造のシングルコイルピックアップの中身は以下のようになっています。
磁石の棒の周りにエナメル線(銅線にエナメルをコーティングしたもの)がぐるぐると巻いてある構造です。意外とシンプルな構造ですね。
磁石の棒の数は弦の数と同一で、6弦ギターなら6本、7弦ギターなら7本となります。
また、磁石でできた棒を使わずに鉄製の棒の底に磁石を付けて同様の機能を得たピックアップも存在します。
イラストはだいぶ簡略化していますが、実際はエナメル線を4000〜8000回くらい巻きつけています。
このエナメル線がピックアップセレクターやボリューム/トーンノブなどを経由して最終的にジャックへとつながっています。
仕組み自体は単純ですが、巻きつけるエナメル線の太さや巻き数、巻き付け方、磁石の強さによって音が大きく変化します。
一般的にはエナメル線の巻き数が多かったり磁力が強かったりすると太くパワーのある音に、巻き数が少なかったり磁力が弱かったりすると自然で繊細な音となる傾向があります。
マグネティックピックアップが音を拾う原理
磁石の周りに発生している磁界(磁気が働いている範囲)に変化が発生する(=弦が振動する)とエナメル線に微弱な電流が発生します。
この電流と弦の振動(=周波数)は連動しており、弦の振動が早い高音であれば発生する電流の変化も早くなり、弦の振動が遅い低音であれば電流の変化はゆっくりになります。
その微弱な電流の変化がアンプへと流れ、増幅・変換されて音として聞こえる、といった仕組みです。
ハムバッカーの構造
レスポールなどのギターに搭載されているハムバッカーは、シングルコイルを2つ並べた構造をしています。
上のは横から見たハムバッカーのイメージ図ですが、磁石の棒のN極を上面にしたものが1つ、S極を上面にしたものが1つ、といった感じで並んでいます。
2つの極性を正反対に配置することで発生したノイズを互いに打ち消し合う特性を持つようになります。
これがハムバッカーがシングルコイルよりもノイズに強い、と言われる所以です。
また、シングルコイルのものと比べるとトータルのエナメル線の巻き数は2倍となるため、出力が高く太い音となります。
ピエゾピックアップ
エレアコに搭載されているピックアップがピエゾピックアップです。
クリップ式チューナーにもこのピエゾピックアップが使用されています。
ピエゾピックアップの構造
ピエゾピックアップには外部からの力に反応して電圧を出力する特性をもつ「ピエゾ」と呼ばれる半導体を含んだ素子が入っています。
このピエゾの特性を利用してサドルの下やボディの表面など振動の多い部分に取り付け、ピエゾに力(振動)を与えることによって電圧を得ています。
このため鉄製の弦を張っていないギターや打楽器などにも取り付けが可能。マグネティックピックアップよりもサイズがコンパクトなのもメリットの1つです。
ピエゾが発生させる電圧は非常に微弱なものであるため、ピエゾピックアップにはプリアンプとの併用が必須となります。
まとめ
- ピックアップは大きくマグネティックピックアップとピエゾピックアップに分けられる
- マグネティックピックアップは磁石にエナメル線を巻いた構造をしており、磁界の変化(弦の振動)によってピックアップに発生する電流を拾うことで振動を電気信号へと変換している
- ピエゾピックアップは外部からの力(振動)に反応し、電圧を出力する「ピエゾ」と呼ばれる素子を利用して音を拾っている